キャリアガイダンスVol.454
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自分がいた世界の「外」の人たちが教えてくれた私の仕事の意味ア3フリーアナウンサースピーチ・ボイスデザイナー職業と私魚住りえ今号のオープニングメッセージナウンサーとはどんな職業か。高校生の私がイメージしていたのは、“テレビの中で原稿を読む人たち”でした。 高校で放送部に入り、アナウンスメントや朗読を始めました。単なる音読ではなく、筆者の意図を汲み取り相手に届ける「音声表現」としての朗読に興味をもち、アナウンサーを目指すように。1995年、日本テレビに入社。ニュースの原稿読みから、バラエティー番組で歌って踊って、ものまねをするまで(笑)楽しみながら、多彩なチャレンジをさせていただきました。 2004年にフリーになり、テレビやラジオの仕事を続けていましたが、40歳を目前に、はたと立ち止まりました。自分という存在を世に役立てるためには、このままで良いのか。就職活動の自己分析のように、今度は「社会」に就職するつもりで、自分を見つめ直し、改めて仕事を捉え直したいと思ったのです。 そこで、テレビ局員ではなく、さまざまな世界で働くビジネスパーソンに話を聞きに行ったところ「自分の声が嫌い」「なかなか自分の言葉が出てこない」といった悩みを聞きました。 思えば私も、アナウンサーになりたての頃はフリートークが苦手でした。それでも年々、力がついてきたのは、ナレーション番組の仕事をしていたから。プロが書いた原稿の意図を汲み取り、朗読することで、話し方の技術が向上していたのです。話し方、聞き方、声の出し方…。アナウンサーとは技術集団なのだと改めて思い至り、そのとき、自分が培ってきた技術と、その活かし方が見えた気がしました。そしてスピーチやボイストレーニングの技術をメソッド化し、伝えていくことに。声が良くなるだけで、みんなが振り向いてくれる。話し方が変わると、人生が変わる。だから私は、それぞれの人生をより良くデザインできる存在になりたいと、トレーナーではなく「スピーチ・ボイスデザイナー」を名乗ることにしました。 職業にはもちろん、お金を稼ぐ手段としての面もあります。でも、それだけではありません。自分の得意なことや好きなことで社会に必要とされるのは、かけがえのない喜びです。ただ、その「自分」が、なかなかわからない。高校生なら尚更でしょう。だから先生方も、目の前の生徒さんがどんな人なのか、何をしているときが一番楽しいのか、ぜひじっくりと聞いてあげてください。誰かに話を聞いてもらうこと、誰かの話を聞きに行くことで、自分を知る。その先に、自分なりの仕事のかたちが見えてくるのかもしれません。うおずみ・りえ●1972年生まれ、大阪府出身。1995年、日本テレビにアナウンサーとして入社。『ジパングあさ6』『所さんの目がテン!』などを担当。2004年にフリーに転身。30年に渡るアナウンスメント技術を活かして「魚住式スピーチメソッド」を立ち上げる。現在は、話し方を磨くための指導を行うボイスデザイナー・スピーチデザイナーとしても活躍中。話し方が上手くなる!声まで良くなる!1日1分朗読(東洋経済新報社)2025 APR. Vol.454取材・文/塚田智恵美

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