キャリアガイダンスVol.454
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地域に根ざした仕事の工夫にふれ、将来をより創造的に思い描く那賀高校(徳島・県立)えたりすることです」野球部があるからという理由で入学した生徒が、次第に林業実践にのめりこみ、成果を発表する全国大会で文部科学大臣賞を受賞。大学に進学し、林業の後継者を育てる教員を目指すようになったこともあった。仲良し3人組が「僕らで林業の会社を興す」と言い出し、皆でより高度なことが学べる専門の学校に進学したこともあった。「その3人は、出前授業やインターンシップで、大手から独立した30代の林業経営者と関われたのが良かったのだとら、町の施設で使う看板やベンチまで製作する。そして全国のお店や地元のマルシェ、ネット通販サイトでの販売も。こうした実践的な学びを、各専攻の生徒が連携しながら行っているのだ。一方の普通科も地場産業と組んだ教育活動を展開。2024年度からは探究活動やインターンシップをより地域密着で進めている。その理由を、繁田大地先生は次のように述懐する。「生徒の頭の中にある『職業』といえば、飲食店や販売店の店員、研究所や工場で働く人、美容師など、身近に接点があるものやメディアでよく見るものがほとんどで、その枠内だけで進路を考えている生徒もいたのです。地域の中には、既存の枠を超えた働き方をしている人がいます。那賀町にも、捕獲した鹿や猪を調理・販売するジビエ料理の専門家や、標高1300mの山奥で宿を経営する方、乗馬やホースセラピーを手がける方などがいるんです。生徒が今ある知識だけでインターン先や進路を選ぶのではなく、地域の中に入って知らなかったことを体験し、『仕事ってもっと自由で、いろいろな働き方があるんだ』と感じながら進路を模索したほうが、未来の可能性が広がるのではないかと考えました」学んでいる生徒たちの意識は、特に入学当初は、千差万別だ。「林業を継ぎたい」「地域の中で学びたい」と、高いモチベーションをもった生徒がいる。一方で、勉強が得意ではなかったり、不登校を経験したりして、「この学校なら入れるから」と消極的な理由で門をくぐった生徒もいる。しかし、不本意な思いを抱えた生徒でも、「学校の外にまで出て学ぶと、できること、やりたいことを見つけて、どんどん伸びます」と丸山先生は言う。今までの生徒の成長を懐かしむような笑顔で、そうした変化を生むと思われる要因も語ってくれた。「一つは、林業や農業を通して自然を相手にする楽しさを実感すること。二つ目は、実践的な活動を大人と一緒にやるなかで『こんな仕事があるんだ』『こういう考えがあるんだ』と身をもって学べること。三つ目は、自分のしたことで周囲から認められたり喜んでもら森林が95%を占める徳島県那賀町。稔       の流れに沿うもので、同校の丸山那賀高校はその町にある、森林クリエイト科と普通科からなる学校だ。2016年に創設された森林クリエイト科には3つのコースがあり、伐倒や伐採をする「林業実践」、木材等の商品開発をする「地域資源」、木材加工や商品販売に挑む「木材加工」のいずれかを専攻する。木を切り、活用方法を考え、加工して販売するという産業先生は「仕事の実践そのものを授業に組み込んだもの」と語る。しかもその活動で、林業関連の地元事業者や町・県・国の職員とも協働するという。例えば、住宅地の育ちすぎた樹木が自重で折れたり電線にかかったりしないよう伐採するのを、プロの管理の下で生徒が手伝う。さらに生徒が伐倒した樹木を使って、木工会社や木材チップ製造会社、製紙会社と協力し、木製の文具や遊具の商品開発にも挑む。また、校内の製材所に技術者を招き、あるいは事業者の設備を借りて、木工製品かできることや挑みたい問題を実体験から生徒が発見するステレオタイプではない多様な働き方を知るために2025 APR. Vol.45430左から、みらい創造部(総合的な探究の時間やDX、地域みらい留学などを推進)の部長の繁田大地先生、「特殊伐採隊丸山組 組長」の呼称でも親しまれている丸山 稔先生インターンシップの振り返りでは、どのような仕事をしたのか、そのなかで何を学んだか、どんなことを感じたか、といったことを言葉にして整理する。また、次年度に体験する1年生に向けたアドバイスも考える。取材・文/松井大助※ダウンロードサイト:リクルート進学総研>> 刊行物>> キャリアガイダンス(Vol.454)インターンシップの振り返り

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