思います。仕事を創り出そうとする生徒まで現れるようになったのは嬉しかったです」(丸山先生)普通科においても、探究活動やインターンシップを通して、生徒の進路に対する考えが深まりつつある。「那賀町はゆずの生産でも有名なのですが、収穫しきれず放置されるゆずも多く、土の劣化や、獣が集まる問題も招いています。そうした地場産業の実情を知った生徒たちは、地域資源活用を本気で考えるようになり、化学の授業でゆずから精油や染料を抽出する実験をしたときも、熱心に取り組みました。『サイエンスの力を、専門の研究所や大学の研究室などで働かなくても、地方でより自由な形で使えるようにしたい』という思いをもって、進学した生徒もいます」(繁田先生)生徒がやらされ感を抱かないよう、 意識していることはあるだろうか。合わせを重視しているという。「生徒はどんなことを知りたいか先に聞いておいて、協力していただく方を選び、打ち合わせをするんです。その必要性に気づいたのは、企業の方から『高校生は何を聞きたいんですか?』と問われてからでした。なるほどと思いましたね。私は『学校の立場』から活動を計画しようとしていたが、『生徒の立場』から考えるべきだったんだと。今は自分が生徒になったつもりで外部の人と話し合っています。そうすると、活動当日も『会社は創業何年で』といった一般的な話ではなく、生徒が知りたかったことをどんどん語ってもらえるんです」繁田先生は、生徒たちと地域に出向いたときに「自分が一番楽しそうにする」ことを大事にしている。「本校には、学ぶことや人と関わることに自信をもてずにいる生徒もいます。そうした生徒が自分の成長を感じられるように『何かに取り組んで心が動いたらその感情を出していこう』とも伝えているんです。だから私も、実は初対面が苦手なんですが、地域との関わりを楽しもう、と。『君たちより先生のほうが楽しんでいるから。それだけしか楽しめないの?』。そういう空気を、醸し出していけたらと思っています」丸山先生は事前のリサーチと打ち生徒目線で活動内容を考え生徒以上に現場を楽しみたい□□□□□普通科の活動。野生動物によるジビエ料理を手がける会社や、地元の農作物による郷土食を製造販売する有志団体、那賀町から「木育」を発信する山のおもちゃ美術館などを訪問。2025 APR. Vol.454森林クリエイト科の活動。山の中での木の伐採、森林調査のためのドローン操作、木材を使った商品の開発や製作など、林業やその関連産業の仕事につながることを実践の中で学ぶ。1948年創立/普通科・森林クリエイト科/生徒数167名(男子95名・女子72名)、志願者を全国から募集、遠方から入学した生徒は寮生活を送る。那賀町との連携や国際交流活動を推進。地域探究同好会やエシカルクラブなどの部活動でも、放置ゆずの収穫、環境配慮の消費を促すマルシェでの販売など、地域の未来を見すえた活動に取り組む。授業やインターンシップで、林業の現場にふれてきました。そのなかで、この仕事は自然と向き合うだけでなく、人と話し合っていくものであることを知りました。例えば「間伐による土砂崩れを起こさないよう、どの木を切ってどの木を残せばいいか」で意見を交わしたりするんです。もともと自分はコミュニケーションを取るのがそこまで得意じゃないと思っているのですが…ただ、自然との共存のために切磋琢磨するようにコミュニケーションを取るのは、やってみたら得意でした。(森林クリエイト科2年生・森本天海さん)地域探究同好会という部活動で、地域活性化をしているような方々と関わっています。流しそうめんのイベントをしたり、ゆず狩りをしたり、山奥で宿を経営する人を訪ねたり。この学校を選んだのは近かったからで、同好会に入ったのは部活動紹介を見て「楽しそう」と単純に思ったからでした。でも、地元のために活動する人たちを見て、すごくいいな、と思うようになって。だから自分も高校3年間でこれという道を見つけて、地域のためになる活動に挑戦していきたいと思っています。(普通科1年生・焏原悠豊さん)職業観イメージを超える職業観コミュニケーションを取りながら自然との共存を考えたい楽しいことを一緒に創るうちに自分も地元で挑戦したくなった31
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