2025 APR. Vol.454ふたわたり・さとし/1963年生まれ。青山学院大学理工学部卒業後、群馬県立下仁田高校(定時制)に赴任。教科は理科(物理)。2006年群馬県教育委員会事務局 高校教育課 指導主事。館林女子高校教頭、群馬県総合教育センター補佐(高校教育研究係長)、桐生工業高校校長、前橋工業高校校長、前橋高校校長を経て、2024年より現職。1963年創立。建学の精神は、「正直・純潔・無私・愛」の道義標準に基づく道徳理念を培い、知育・徳育・体育を以て人格の陶冶と錬成をはかり、つねに国際的視野に立って、世界平和と社会の福祉に貢献できる人材の育成を期する。普通科に、特別進学コース(選抜クラス・特進クラス)、総合進学コース、スポーツ科学コース、保育コースの4コースを有する。同一学校法人に育英大学、育英短期大学。まとめ/堀水潤一 撮影/田谷智彦 今年1月の全国高校サッカー選手権で優勝するなど、本校はスポーツ強豪校として知られています。私自身、県立高校勤務時代、県□□□□□高野連会長として本校野球部に優勝杯を手渡したこともあり、運動部の強い学校というイメージがありました。ただ、2024年4月に校長として着任し内部から見ると、本校の強みやポテンシャルはそれだけではないと感じました。特別進学コースを中心とした質の高い授業や難関大学への進学実績。製薬会社などと協働した産学連携の探究プログラム。育英短期大学や系列のこども園などと連携した保育の実践教育。多様な生徒が集まりながらもクラスや学年の枠を超えて学校が一つになる学校行事や全校応援などもそう。けれど何よりの強みは、学校や教育に対する思いが強い先生方がいることです。赴任前の懇親会で、ベテランの先生が口にした「課題もある。けれど自分はこの学校が好きなんだ」という言葉に心を打たれました。私は20数年ぶりに外部から来た校長であり、いわゆる「俺についてこい」タイプでもありません。受け入れられるか前橋育英高校(群馬・私立)33不安もありましたが、こうした先生方がいるなら大丈夫。力になりたいと思いました。 4月1日の赴任後、生徒のいない春休みを利用し、大勢の教員と話す機会を設け、自己開示も含め本音を伝えられたことは、信頼関係の構築に役立ったと感じます。今も月曜日は職員室で全員を前に、その他の曜日は主幹教諭が集まる運営委員会などで、積極的に私の考えや経験談を、時にくだけた雰囲気で話すことで距離は縮まりつつあると思います。 そうしたなか、先生方の賛同を得て今年から始めることがあります。1つは非認知能力の客観測定です。これまで各教員の主観で感じとっていた意欲やレジリエンスといった生徒の非認知能力ですが、運動部の顧問には見えても担任には見えにくい能力もあったでしょう。それがある程度客観視されることで、「自分では気づかなかったけどこんな力があったんだ」と生徒が前向きになることを期待しますし、教員が「こんな傾向があるなら探究や部活動はこう変えていくか」など変化を起こす起爆剤にしたいとも考えています。 もう1つ始めるのがロサンゼルス研修です。建学の精神にある国際的な視野を養うため、本物に触れることを柱とした研修旅行です。 私には本物にこだわる理由があります。以前、「本物がもつ力の大きさを見せたい」と、進学校の生徒を研究機関に引率したことがありました。ただ、迎えてくれた研究者は目を輝かせながら、ひたすら難解な内容を話すだけ。でも、「この研究は一生をかける価値がある」といった熱は伝わるんですね。生徒も、わからないなりに身を乗り出し、その後の課題研究が俄然主体的になりましたし、そうした研究者レベルに達するために今学ぶべきは何かを逆算し、日々の授業に意欲的に取り組むようになったのです。それこそ学びの本質でしょう。勉強の意義を見出せずにいる生徒が多いなか、その研究者は自らの姿勢で示してくれたのです。教員が目を輝かせ、学ぶ楽しさを全身で伝える。そんな学校にしていきたいです。思いを語り自己開示しながら教員との信頼関係を築く今年から動き出す海外研修と非認知能力の客観測定
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