キャリアガイダンスVol.454
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が多く、業務効率が悪く温度差があるという課題もあった。かたや地域でも、急速な人口減少により限界集落が発生するなどの課題が生まれていた。「できないこと探しをするのではなく、できること探しをして現状を打破していこうと、探究学習をベースにした福山みらい創業塾を立ち上げ、三菱みらい育成財団への応募など資金調達も含めて、産官学連携のスキームの構築に向けて具体的に動き出しました」(折田先生)「福山みらい創業塾」は、「地域社会の先導者となる人材育成」を目的とし、それを実現するための目標として、「郷土への愛着」「自ら挑戦しようという精神」「問題発見・問題解決の力」の育成を掲げた。「創業塾」としたのには、「創造するだけでなく、ビジネスとして〝do〟することが大事」という思いが込められている。「探究学習とは、自分の好きなことを起点に〝なぜ?〟を深めて問いを立て、何のために学ぶのかという価値に気づくためのもの。生徒には、みんなと一緒に正解のない答えを探す旅だと伝えると同時に、探究学習を通して社会に役立てる力、つまり、ビジネスの力を養うことも大事だと伝えています。ビジネスというとお金儲けをイメージしがちですが、お金は〝ありがとう〟の対価です。探究のテーマを決めるときにも、自分の興味があること・好きなこと・得意なこと、かつ、感謝されること、鹿児島県立福山高校では、2021年度より、総合的な探究の時間を使った「福山みらい創業塾」を展開。地域とつながり、外部のリソース(人・もの・金)を活用し、「地域社会の先導者」となる人材の育成を目指している。福山みらい創業塾を中心となって推進す   内で教員を務めたのちに慶應義塾大学社るのが、商業科の折田真一先生。鹿児島県会学研究科で教育学を専攻し、2020年度に福山高校に復職した。大学院で学ぶなかで教育における産官学連携の重要さを実感した折田先生は、「これからの社会を生きる子どもたちに必要なのは、自分で考えて自ら行動する主体性。知識・偏差値主義を脱却し、創造性を育む教育を行うべき」という信念の下、高校でどのような教育を行うべきか、いかにして外部と連携して人材を育てるか、持続可能な仕組みを作るか…を模索していった。一方、当時の福山高校は多くの課題を抱えていた。まず、特別支援を必要とする生徒や基礎学力に課題がある生徒が多い学校となっていたものの、サポート体制が十分ではなかった。また、光ファイバーなどの通信環境がなかったり、十分な予算がつかず校舎の設備や備品の老朽化が進んでいたりした。さらに、教職員は非正規雇用地元企業や大学生の協力の下持続可能な仕組みを整える多くの課題を抱えるなか、「福山みらい創業塾」を立案2025 APR. Vol.4541985年創立/普通科・商業科/生徒数85人(男子33人・女子52人)/進路状況(2025年3月卒業)短大2人、専門学校11人、就職9人、そのほか1人商業科教諭の傍ら、慶應義塾大学SFC研究所上席所員、文部科学省学校DX戦略アドバイザー、デジタル庁デジタル推進員なども務める折田真一先生。取材・文/笹原風花単位数は2単位。前半は、ICT活用、ロジカルシンキングなど探究に必要なスキルやマインドを学びつつ、大学生とのオンラインセッション、他校の生徒との協働学習などにも取り組む。夏前からは探究テーマを設定するための調べ学習や実践を重ねる。単位数は2単位。トヨタ車体研究所による問題発見・解決プログラムや各種ワークショップを受講しつつ、マイプロジェクトを進める。1年次に続き大学生とのオンラインセッションや他校の生徒との協働学習に取り組み、3月の成果発表会で発表する。1・2年次に取り組んだ探究テーマをベースに、商業科は「課題研究」(3単位)+「キャリア探究」(1単位)に、普通科は「キャリア探究」(1単位)に取り組む。● 年間スケジュール探究の基礎を身につけテーマ設定に取り組む問題発見・解決の手法を学びマイプロジェクトを進める1・2年次の取組を専門や進路につなげる37本格実施から丸3年が経った「総合的な探究の時間」。現場で試行錯誤が続くなか、実践のヒントとなる探究の事例をご紹介します。

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