キャリアガイダンスVol.454
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「情Others      Others〟をforfor本学の教育理念でもある〝Do〟に通じます。他者に貢献するためには、「この人は今、何を思うのか」「どう苦しんでいるのか」など、相手の心の内を理解する必要があります。そこを欠いた貢献は押し付けになりかねません。「人の心がわかる」「人の痛みがわかる」。これこそが真の教養ではないでしょうか。そして、こうした真の教養は、文学や経済学・法律学ほか、学部での学びを通して獲得できるはずです。むしろ学問は、人の心がわかるようになる手段としてあるとさえ思います。私の専門は民法ですが、法律学は堅く見えて人間臭いもの。さまざまな愛憎や葛藤があっていさかいは生じるわけですが、理屈でもってどこかで線引きしないといけません。そのとき、納得いかない方は、どうしたら感情的にも受け入れられるのか。そうしたことまで思いをはせるところに、この学問の面白みや奥深さを感じます。学問が高度化し、社会が急変していくなか、学部で学べる専門性には限りがあります。生涯、学び続けることが求められ、基盤となる力を育むところが大学です。真の教養教育に焦点を当て、学修者本意の教育を進めることで、これまで以上に〝Do体現する人材の育成を目指します。報と数理の力で、人が主役のAI社会を創る」ことを目指し、2024年4月に情報数理学部がスタートして1年が経ちました。文系学部のみだった横浜キャンパスに、理数系の志向をもつ学生さんが加わったことで、お互いに良い影響を与えあっていると感じますし、これを機に「文理複眼」的思考が育まれることを期待しています。私が思う文理複眼とは、文理それぞれのベースはしっかりもったうえで、もう一方の視点や考え方に気づき、必要に応じて組み合わせること。文系学部の学生であれば、新たにデータサイエンスなど理数系的な視点を獲得し、情報数理学部の学生であれば、人文・社会科学系の学問にも関心をもち、アプローチの幅を広げる。文理を融合させるというよりは、双方の考え方をもちうる。あるいは尊重しあうといったニュアンスです。そうした考えの下、2023年4月には、「AI・データサイエンス教育プログラム」を、全学部生を対象に開始しました。データや数値によって客観的根拠を示し問題を解決する。こうしたスキルは、学部あるいは好き嫌いを問わず、これからの社会で欠かすことはできないと考えているからです。大学のマネジメントも然り。本学は伝統的に学部の自治独立や教職員の自立性を尊重してきました。組織風土としてトップダウンはなじみませんが、スピード感をもって物事を進める必要もあります。その際、拠り所となるのがデータです。根拠となる数字やエビデンスを示してこそ組織は、一つの方向に向くと考えています。一方で、数字やデータだけでは見えづらい価値を問うことも忘れてはなりません。端的に言えば、人の心に寄り添うこと。この姿勢は、本学の創設者ヘボン博士が生涯貫いた精神であり、学長プロフィール いまお・まこと●早稲田大学大学院法学研究科 博士課程民事法学専攻単位取得満期退学。明治学院大学法学部専任講師、助教授などを経て2006年教授。学生部長、法学部長、大学理事などを経て2024年より現職。専門分野は民法。大学プロフィール1863年に開設された男女共学の英学塾「ヘボン塾」を淵源に1949年開学。文学部(英文学科、フランス文学科、芸術学科)、経済学部(経済学科、経営学科、国際経営学科)、社会学部(社会学科、社会福祉学科)、法学部(法律学科、消費情報環境法学科、グローバル法学科、政治学科)、国際学部(国際学科、国際キャリア学科)、心理学部(心理学科、教育発達学科)、情報数理学部(情報数理学科)の7学部17学科を擁する。キャンパスは、白金キャンパス(東京都港区)、横浜キャンパス(神奈川県横浜市)。2025 APR. Vol.45449まとめ/堀水潤一 撮影/吉永智彦

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