キャリアガイダンスVol.454
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「早くこの小さなまちを出て、にぎやかな都会に行きたい」都会への憧れを携えて、大学進学とともに県外に移り住んだ私の前に現れた景色――それは、人のいない寂れた商店街でした。長崎県長崎市に生まれ、子どものころの遊び場といえば近所の商店街。三輪車で商店街をめぐり、スナックに顔を出すのが日課で、そんな私に地域の人たちが温かく声をかけてくれていました。しかし、ないものねだりで長崎より栄えているまちに憧れて、関西にある地方大学に進学。友人と一緒に中心地の商店街を訪れて、衝撃を受けました。私と友人の二人以外に、人の姿が見えないのです。郊外に大きなショッピングモールができ、車移動が中心となり、商店街がどんどん衰退していく。全国の地方都市で、同じようなことが起きていました。ただ、私の育った長崎の商店街では、人がたくさん行き交っていた。なぜだろう。そのヒントは、起伏に富んだ地形を有する長崎の景観にありました。作家のなぜ長崎の商店街では人が行き交っていたのか511985年、長崎市生まれ。高校生まで平地のまちなかと斜面地を行き来する日々を過ごす。和歌山大学システム工学部デザイン情報学科卒、九州大学大学院芸術工学府デザインストラテジー専攻修了。コンパクトシティとして長崎市がもつ価値に気づき、2010年に長崎都市・景観研究所/nullを設立。2025 APR. Vol.454取材・文/塚田智恵美 撮影/川崎賢大   教育業界でも注目されるアントレプレナーシップ(起業家精神)。この連載では、全国さまざまな地域の未来に向けて取り組むアントレプレナーの方々を取材し、何かを変える一歩目の踏み出し方、高校教育にも通じるアントレプレナーの視点を探ります。

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