キャリアガイダンスVol.454
58/66

デザイン科の生徒は、『求められたことを期日までに達成しよう』とがんばってくれるのですが、ゆえに『及第点には届いているけど、自分らしい発想や表現をもっとしつこく追ってほしい』と感じました」双方の良さを伸ばしつつ、足りない視点も磨くような、いわばアートとデザインを融合させたような学びをできないか。その考えの下、生徒が「自分」と「社会」の両方を見つめて創作をくり返す、上図のようなカリキュラムを練り上げた。最も力を入れたのが3年生の課題研究だ。生徒が社会に飛び込み、地域の人などと関わりながら自分を見つめ、内から生じた思いを基に問題解決に挑み、企画書にして表現する。その活動に伴走するなかで、こんな思いも強まった。「創作や創造をするには、造形の知識や表現技法以上に、発想が大事だ」と。授業にマインドマップなどの思考ツールを取り入れ、生徒の発想が広がるように後押しした。や養護学校勤務を経て、母校である高松工芸高校に赴任した。工芸科、デザイン科、美術科、機械科などがあり、創作やものづくりに興味のある生徒が集う学校だ。に配属。しかし途中からデザイン科へ異動になり、専門外だったことを必死に勉強しながら生徒の学習を支えた。これが転機になった。デザインの面白さを知り、同時に科による気質の違いも感じたのだ。「美術科の生徒は、『人と違うものを創作したい』という意欲は強いのですが、『期限厳守や相手目線などの社会性はおろそかにしがち』なんですね(笑)。対して西澤先生は芸術大学を卒業後、講師自身の専門は日本画で、当初は美術科「自分」と「社会」の双方を見つめながら創作できるように58「視覚伝達系」「立体工芸・プロダクト系」領域では、美術の知識や技法を中心に学習。「創造性思考系」領域では、自分の抱いた違和感から社会の問題を見いだし、解決を目指していく。1年次は小さなコミュニティ(クラス等)、2年次は大きなコミュニティ(学校や社会)、3年次は未来も意識したコミュニティと、社会を見すえる視座も引き上げていく。創立1908年/普通科生徒数686人(男子335人/女子351人)進路状況(2024年3月卒業)大学95人、短大17人、専門学校等53人、就職19人、その他22人1年次は人文・文理・総合の3分野から、2年次以降は人文・文理・総合・芸術の4分野から、生徒がコースを選択して学習する。「地域に根ざし愛される高校」としての学校づくりを推進、地域関係者や大学などと連携した探究活動にも取り組む。2025 APR. Vol.454    生徒の探究が進むように科学や芸術の視点を伝授理科佐藤大輔先生――西澤先生とはどんな接点がありますか? 総合的な探究の時間の活動で中心となる教育研究部という校務分掌でご一緒し、生徒が自分の興味・関心を深化させていくにはどうすればいいか、といったことを話したりしています。担当教科は、私は理科で、西澤先生は美術で、一見すると全然違いますが、双方には「よくわからないことを突き詰めて本質を見抜いていく」という点で通じるものがあります。そしてその共通する部分において、探究活動との親和性も高い、と思っています。――探究活動で生徒が興味・関心を深められるよう大事にされていることはありますか? 外部に出て生徒が活躍したり発表したりする場をいかに提供するかです。そうした場があると、なんだかんだで生徒は自分から動き出すのです。その生徒主体の活動を、教員はアプローチの仕方で支援します。例えば「予想を立て、実験を行い、結果を分析し、新たな実験をする」サイクルを回す科学的アプローチや、西澤先生がされている「試作品を創り、周囲の反応を確かめて改善する」サイクルを回す芸術的アプローチで。そうすると、生徒の探究から結構面白いものが生まれるなと感じています。高松東高校(香川・県立)前任校(高松工芸高校)デザイン科での3年間のカリキュラムINTERVIEW・教科を越えたつながり

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る