キャリアガイダンスVol.454
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SDGsの観点も大切。つまり文系志向学はこれまで、さまざまな企業や自治体と連携した社会実装型のプロジェクトデザイン教育(理工系PBL)を進めてきました。近年は、スマート農場や自動運転、遠隔医療など、AIやデータサイエンスを駆使した先進的なプロジェクトを数多く実施しています。その際、見落としていけないのは、技術的視点だけでは物事は解決できないこと。スマート農場であれば、確かにロボット技術で作業は効率化できますし、栄養素の分析や自然エネルギーの調達も可能です。けれど、収穫した作物を使った商品開発となると経営的視点が必要ですし、海外展開にあたっては語学力も求められます。どう発信すれば消費者に受け入れられるかという点では、情報やデザイン、の学生の力も欠かせません。そうしたことを背景に今年度、工業系の4学部だった学部を6学部17学科に大胆に再編。工学部、建築学部、バイオ・化学部という既存の基幹3学部に、情報系の3学部が加わりました。情報デザイン学部は、技術から経営、文化、芸術まで広い分野をカバー。メディア情報学部は、情報技術や心理学などを活用し、感性の世界に踏み込みながらコンテンツやシステムをデザイン。情報理工学部は、AIやロボティクスなど先端の情報技術に特化した学部です。工業大学としてのベースに情報、さらにはデザイン思考やアートなど文理探究的な視点をもつ学部が交わることで、社会変革を促すようなプロジェクトが動くことでしょう。本学には、必修科目としてのプロジェクトデザイン教育のほか、学生の自主的なものづくりを支援してきた長い歴史があります。2017年には最新研究の拠点「チャレンジラボ」を、2023年には、感性を刺激する発想の拠点「デザインアートラボ」を設置しました。その土台の上に2026年、学部学科を超えてプロジェクトを推進する新拠点「クロスデザインラボ」が完成します。eスポーツや自動調理などを扱うスタジオのほか、例えばドローンショープロジェクトスタジオには、工学部や情報理工学部の学生だけではなく、新素材による軽量化のためにバイオ・化学部の学生が、ショーのデザインのためにメディア情報学科の学生が、どうすれば人を感動させられるかという面から心理情報デザイン学科の学生も集います。異なる専門同士の出会いによってイノベーションが生じることを期待しています。教育DXの一環で、学生の成績を本    分析すると、「ここでつまずくと、ここでもつまずく」という相関が明らかに出てきます。ところが「ここで伸びる」というポイントを予測することは難しい。学生一人ひとり性格や環境が異なるため、どこでスイッチが入るかわからないのです。そのため大学がすべきは多くの機会をつくること。プロジェクトデザイン教育も、文理探究的な学部編成も、クロスデザインラボも、さらには専門知識をもった学生が企業に就業しながら学ぶコーオプ教育も、そのための土俵に他なりません。学長プロフィール おおさわ・さとし●東京理科大学大学院理学研究科化学専攻博士課程修了。理学博士。マサチューセッツ大学高分子化学科博士研究員などを経て1996年金沢工業大学講師。2004年教授。バイオ・化学部学部長、教務部長、副学長などを経て、2016年4月より現職。大学プロフィール1965年開学。情報デザイン学部(経営情報学科、環境デザイン創成学科)、メディア情報学部(メディア情報学科、心理情報デザイン学科)、情報理工学部(情報工学科、知能情報システム学科、ロボティクス学科)、バイオ・化学部(環境・応用化学科、生命・応用バイオ学科)、工学部(機械工学科、先進機械システム工学科、航空宇宙工学科、電気エネルギーシステム工学科、電子情報システム工学科、環境土木工学科)、建築学部(建築学科、建築デザイン学科)の6学部17学科を擁する。石川県野々市市(扇が丘キャンパス)2025 APR. Vol.45461まとめ/堀水潤一 撮影/鶴見絵理沙

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