キャリアガイダンスVol.457
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ミュニケーションとは何か」と問われれば、相互変容をもたらすものだと私なら答えます。言葉を尽くし合い、互いの発言や質問によって、相手も自分自身も揺さぶられ、変わっていく。これがコミュニケーションの本質ではないでしょうか。もちろん、家族との日常会話や友達との雑談まで、いちいち変容を期待するものではありませんが、でも考えてみれば雑談にしても、相手の何気ないひと言に対して、「ウケる」「面白い」と感じることも、一種の変容と言えるかもしれません。コミュニケーションは目の前の人と一対一でするものとも限りません。例えば、私はここ数年、多くの著書を世に出していますが、執筆しながら「この考え方で大丈夫だろうか」と常に脳内で自分と対話しながら書き進めています。また、出版後も内容について読者に揉んでほしいと思い、多い時には週に1回ほどトークイベントを開催し、いただいた質問はすべて次の執筆に活かしています。読者に何かしらの影響を与えていると同時に、私自身も変わっていく。まさに相互変容です。対談にしても、インタビュー取材にしても、相手の発言や質問次第で、場が大きく変化していくことも実感しています。予定調和的な流れでは、その場はスムーズに進行しますが、それだけでは発展が見込めません。めんどくさいこと、わかりにくいものから逃げずに向かっていくことも、相互変容のカギになると感じています。生徒間のコミュニケーションの齟齬が原因で、クラスの行事やグループワークがうまくいかないときは、冒頭で述べたように、個々の生徒のコミュニケーションスキルの問題として片付けず、頻繁にグループ分けを行うなど組み合わせを工夫してみてはどうでしょうか。意図的に、異学年や外部の人との交流の機会を設けることもよいかもしれません。多様な人を相手にコミュニケーションすることで、「自分はコミュ力がないから」と自信なさげにしていた生徒が、「こういうタイプが相手だと喋れなくなってしまうな」とか、「あの人のようにうなずきながら聞いてくれると話しやすいな」など、自分ならではのコミュニケーションのスタイルに気づいていけると思うのです。うまくコミュニケーションがとれなかったとしても、「たまたま相性が悪かっただけ」と精神的にラクになるかもしれません。結局のところ、コミュニケーションとは双方向的かつ、その場で即興的につくられるものなので、本人だけではどうにもならないし、ましてや個人の能力の問題として片付けることはできないと思います。ある小学校の先生が、「僕は星を見ないで、星座を見るようにしている」と話していました。生徒個々の能力だけで評価せず、また、切り取られた一瞬だけで判断せず、関係性によって大きく揺れ動く様子まで俯瞰して捉えているのだと感じ、心を打たれました。生徒同士の話し合いで分断が生じている場合でも、その状態をマイナスとせず、相互変容の過程として捉えてみる。反対に、話し合いが盛り上がっていた場合は、「今は盛り上がっているけれど、見過ごしている点がないか少しだけ考えてみようか」などと投げかけるのもいいかもしれません。空気を壊さないよう、意見を押し殺している生徒がいるかもしれませんから。生徒だけではなく、先生にも多様なコミュニケーションのスタイルがあると思います。教師だからといって全員が言語優位とは限らず、書きながら考えをまとめるほうが得意な先生もいるでしょう。そのため、例えば、職員会議の前日にアジェンダを出し、前もって考える時間を設けたり、会議の場で結論を出さず、意見書の形で後日の反応を待つようにしたり。それぞれの「持ち味」を活かせるコミュニケーションの形ができたとき、生徒にもきっといい影響があるはずです。問うべきは個人の「能力」ではなく「持ち味」の活かし方星だけではなく星座として見る。組み合わせ次第で見え方は変わる      「働く」を問い直す誰も取り残さない組織開発若手、管理職、人事担当者、経営者。それぞれの立場で頑張っているのに、なぜかギスギスしてしまう職場を念頭に、誰も取り残さない組織開発は可能かを考える。移ろいがちな他人の評価が、生きづらさを生み出す「能力」社会。そのカラクリを教育社会学と組織開発の視点から解きほぐす。著者第一作目にして話題の書。2026 JAN. Vol.457こ れ か ら の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 紐 解 く日経BP「能力」の生きづらさをほぐすどく社19

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