事前にどれだけ綿密な段取りを組んでも、日々イレギュラーな事態が発生します。荷主からの依頼でスケジュールが変わったり、在庫確認のような付帯作業が発生したり。その都度、館内アナウンスでリアルタイムの情報共有を行い、人手が足りないときは、私自身がフォークリフトに乗っています。現場を動かすには、一方的に指示を出すだけでなく、現場からの意見や提案を聞くことも必要です。私には「その順番で作業するのは非効率なのでは?」と見えることも、理由を尋ねると、意外な考えが聞けることがあります。「このほうがやりやすい」といった率直な声やアイデアが現場から出てくるように、作業員とはなるべく壁をつくりません。命令形の言葉遣いはせず、丁寧な言葉で話すようにしています。いずれも地道な工夫ばかりですが、意識し続けることで意思疎通がスムーズになり、みんなの理解度も上がっていきます。先日、出荷方法を大きく変えたときも、丁寧に意図や変更点を伝えたことで、ミスなく作業が進んだばかりか、業務時間を1時間縮めることができました。「こう動いて」と指示するのではなく「どうすれば動けるようになるのか」を考えることの大切さを実感しています。全を守る」「商品を傷つけない」ためのコミュニケーションです。トは、運転音が静かで、近づいてきても意外と人が気づかないケースがあります。事故を防ぐためには、運転している人が「通るよ」と大きな声で注意を促すこと。それも私が率先して行うことで、他の人にも真似してもらい、チーム全体で習慣づけられるようにしています。持ち運びに注意が必要なものについては、情報共有を徹底する。過去事例からの学びを伝え、意識を高める。物流の品質は、こうしたことの積み重ねで向上していきます。私の仕事において、コミュニケーションとは「確実にものを届ける」使命を遂行できるチームをつくること。そしてイレギュラーを乗り越え、日々当たり前のように届いている荷物を、間違いなく届けられる基盤を構築することです。私は口下手なほうで、饒舌に人を楽しませるようなタイプではありません。でも、この仕事においては、真面目に人やものと向き合う姿勢のほうが、求められる素質のような気もします。大切な商品を傷つけず、安全を守り、確実に届ける。その目的を果たすコミュニケーションを重ねていきたいですね。また倉庫管理に必要なのが「安電気モーターで動くフォークリフさらに商品が破損しないよう、を説明するときも、ホワイトボードを使って視覚的な説明を行う。さらに、現場に出向いて進捗をたびたび確認し、必要があれば個別に声をかける。そもそも、人それぞれの個性や特性をふまえた業務の割り振りをしておくことも、スムーズにみんなが動ける状態をつくるには大切です。外国人の作業員の場合、荷物に書いてある日本語の商品名を読めない、商品ラベルの違いにもなかなか気づけないことがあります。商品の取り違いが起きないよう、現場に行って一緒に指差し確認をしています。「動いて」ではなく「どうすれば動けるか」考える大切なものを守り滞りなく届けるために倉庫で働く作業員が迷いなく動ける状態をつくり、迅速かつ安全に荷物を届けることで、生活者の営みを守る2026 JAN. Vol.457作業員の経験や知識の差、言葉の壁によって、指示への理解度に違いが出たり、作業効率が変わったりすること人手が足りないときは、みずからフォークリフトを運転し、荷下ろしや積み込みを行うことも。地道な意思疎通の工夫によって、作業手順を変更しても混乱なく対応でき、作業時間の短縮にもつながった取材・文/塚田智恵美 撮影/平山 諭こ れ か ら の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 紐 解 く♯誰と、どう関わる仕事か21♯どんな「隔たり」があるか♯通じ合えた瞬間
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