高次機能障害の症状が見られたある患者さんは、「私は大丈夫」と、リハビリや、周囲に必要な配慮を知らせるヘルプカードの所持を断られていました。でも、お出かけが好きな方だったので一緒にスーパーに買い物に行ってみると、にぎやかな店内では注意散漫になり、欲しいものをうまく見つけられませんでした。ただ、それで買い物が不可能と決まったわけではありません。「うまくできない」とご本人が気づかれてから一緒に対処法を話し合い、なじみのコンビニエンスストアでなら、いつもの店員相手にいつもの方法で買い物ができるとわかりました。その方が退院されるとき、当初は拒まれていたヘルプカードを差し出して、「私のことを書いてください」と言ってくださったんです。今までの関わり合いのなかで信頼関係を築けたのかな、と嬉しくなりました。相手に興味をもち、互いの違いも尊重しながら、生活上の課題や目標を一緒に見つける。そうしたコミュニケーションを通して、患者さんの現在と過去、未来をつなげていくことを今後も大切にしたいですね。できないことの気づきをよりよい未来につなげていく認定作業療法士イムス札幌リハビリテーション病院阿部來夢さん♯誰と、どう関わる仕事か23♯どんな「隔たり」があるか♯通じ合えた瞬間 障害や加齢による課題のある患者さんと、その人らしい生活を送れるようにするための計画や訓練を一緒に行う2026 JAN. Vol.457年齢や性別、生活習慣などからくる「考え方の違い」/現状の捉え方や今後の目標に対する「認識のズレ」話を聞き、観察し、問うなかで、生活上の課題や可能性にご本人が気づき、私たちの力も必要としてくれたあべ・らいむ●(写真右側)大学卒業後に入職。回復期の患者さんの病棟や訪問でのリハビリに携わったあと、関東の大学院に進学、同じ医療法人グループで精神科の患者さんのリハビリも経験。札幌に戻り、現在はリハビリテーション科の主任を務める。こ れ か ら の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 紐 解 く
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