メージも固まり、制作陣にスムーズにつなぐことができたんです。架け橋になれてよかった、と思いました。私の仕事において、コミュニケーションとは、一緒に物事に取り組む相手のことをまず知ろうとし、そのうえで互いの見えないところをつなぐことです。お客さまも私たちも「いいものを作りたい」という想いは同じ。でも専門性や見えているものは異なるので、すれ違いが生まれます。だからコミュニケーションを取って皆の意識をつなぎ、全員が気持ちよく仕事ができるように地ならしをする。互いの力がかみ合い、お客さまが目指していたことを超えるプラスαのものを創ることができて、お客さまとも社内のみんなとも「これ、いいですよね!」と喜び合えたときに、一番の嬉しさを感じます。客さまが不慣れなことが多く、「とりあえず会社案内を作りたいんだけれど」と、内容未定でそこから相談したいという依頼もあるんです。それだけに心掛けているのは、相手のことを知りたい、と思って、先入観をもたずに話を聞くことです。「この業界のこの世代の方ならこんな感じを望むのでは」と思い込みで制作を進めると、齟齬が生まれます。完成イメージがお客さまのなかでまだ漠然としていたら、私からもいろいろと投げかけ、目指すものを一緒に組み立てます。会社案内であれば「何ぺージぐらいを考えていますか」「どういう層に向けて作りたいですか」「学生に配りますか、取引先への説明で使いますか」などと。それを踏まえて内容も詰めていきます。すると、お客さまのなかでは「当たり前」になっていることが、外から見れば「新鮮」であることがわかり、今回の印刷物にとどまらず、以降のPRにも活かせるような波及効果が生まれることもあるんですよ。そういうのは、すごく面白いですね。社内の各部署との連携でも、相手をよく知ろうとする姿勢が必要です。編集や印刷、加工はどう行われるのか。「このページ数でこういうデザインや加工で」と、自分ではできると思ってお客さまと話を進め、蓋をあけてみたらできなかった、となれば全員に迷惑をかけてしまいます。お客さまのリクエストに私たちがうまく応えられないこともあります。紙面のデザイン案に、お客さまから修正の希望があり、直したものに再度修正が入り、そのラリーが何度も続いて…。そうなる原因の一つは、お客さまが望んでいることを私がつかみきれておらず、制作現場に的確に伝えられていないこと。また、制作で何が難しいかを、お客さまに説明しきれていない場合もあります。だからこそ制作過程では、社内の各部署とお客さまのあいだで「都度、確認」することを大事にします。懸念点は編集者やデザイナー、工場の社員にすぐ確認。お客さまから紙面への要望があれば、なぜそうしたいのか理由も深掘りして聞き、制作陣とも共有。要望に応えきれないならできることを共に考え「この理由で困難で、ただしこの点はこうすれば実現できます」とお客さまの想いに寄り添いつつ実情を伝えます。物事をうやむやのまま進めず、双方の声を届けて相互理解を図るのです。口数が少なく、印刷物の制作でうまくいかない経験をされたことのあるお客さまを担当したことがあります。はじめはどうコミュニケーションを取ればいいか、不安でした。ですが何度かお会いすると、実はご本人のなかでいろいろと考えていらっしゃることがあるのだとわかってきました。以前はそれを汲み取ってもらえず堂々巡りになったよう。頭の中にあるものを聞き出そうと努めていくと、とつとつと想いを語ってくださるようになり、印刷物のイ社内にもアンテナを立ててお客さまの希望に寄り添ういいものを作りたいその想いがかみ合うように お客さまと「やりたいこと」を話し合い、社内では「できること」を確認。双方をすり合わせて印刷物を作る書籍や広報誌、シールなど作る印刷物はさまざま。ほかに宣伝用のノボリの印刷や、ホームページの制作なども手掛けているという。2026 JAN. Vol.457仕事で関わる人それぞれが「ベースとしてもつ知識の差異」/協働作業における「互いの実情の見えにくさ」対話によってお客さまの想いが明確になり、社内とも都度確認を取ることで、皆の力を合わせて良いものができた印刷工場で社員と。現場の作業を知ることに努め、一緒に制作してくれる仲間に「感謝を声に出して伝える」ことも大事にしているという。こ れ か ら の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 紐 解 く♯誰と、どう関わる仕事か27♯どんな「隔たり」があるか♯通じ合えた瞬間
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