え方や大切にしている価値観などに気づくきっかけになっているようです」と中村先生は言う。集大成となる高校2年次には、沖縄への修学旅行のなかで演劇のWSを行う。「修学旅行を、未知との出会いがある有意義なものにしたい。沖縄で生きる人の生の声を生徒に届けたい」という思いから、同校の教員と現地の劇団員たちが一緒に考案したプログラムを実施している。沖縄の人に「わったーシマ(わたしの地域)」への愛を語ってもらい、生徒たちはその魅力を伝えるCMを創る、という建て付けだ。「既存のイメージとは異なる沖縄について知ってほしい」と中村先生は言う。「今の時代は、インターネットのアルゴリズムによって、自分の好みに合った情報や自分の関心事に近い情報ばかりが入ってきます。無意識のうちに、自分とは異なる意見や考え方、知らないものに触れる機会がなくなり、世界が狭くなっていることに危機感を覚えています。未知と遭遇する場面、異なる他者と出会う場面を設けることが、学校教育においても重要だと感じています」計・推進に取り組んできた中村先生。演劇という手法を取り入れる意義について、次のように語る。「違いを尊重しよう、互いを認め合おう、対話を通してコミュニケーションをとろう…と教員が言葉にするだけでは、生徒には届かないでしょう。大切なのは生徒が自分で気づくことであり、その手法として演劇はとても有効です。楽しみながら、自分で考えながら、そして身体を使いながら活動するプロセスを通して、それぞれの気づきや学ダムネスを設計するよう意識していま思います」 して、他校の生徒も交えた「サマーワークショップ」を実施した。中学2年生かい」と締めくくった。に、体験学習(演劇)を取り入れる。いを通して、「違う」を体感させる。待つ(教員が言語化しすぎない)。びを得ることができるからです。WSをデザインする際には、偶然性やランす。そんな偶発的な経験から生徒が自発的に多くの気づきを得るためには、生徒に任せ、生徒を待つことが大切です。教員が言語化してしまうと、そこで生徒の思考は止まってしまう。あえて言わない。迷ったら、待つ。これは普段の関わりにおいても大事なことだと今年の夏休みには、初めての取組とら高校2年生まで、性別も年齢も異なる多様な生徒が集い、共に朗読劇に取り組んだ。中村先生は「今後も異なる価値観をもった他者と出会い、対話をする機会をより多く設けていきた●身体的に学び、自ら気づかせるため●タイパ・コスパ重視ではなし得ない合意形成を体験するために、時間をかけて仲間と対話・協働する場を設ける。●未知との遭遇、異なる他者との出会●偶然性やランダムネスを設計し、想定外の学びを誘発する。●思考を止めないため、生徒に任せ、の職業は調べれば情報が出てきますが、架空の職業については自分の頭で考えなくてはなりません。具体的な仕事内容、利益の生み出し方、やりがいなどを考えることが、自分の職業に対する考偶然性・ランダムネスを設計し、生徒に任せ、生徒を待つ地元の劇団員の協力を得て行われる沖縄での演劇ワークショップの様子。生徒たちは半日間で「わったーシマ」の魅力を聞き出し、CM仕立ての演劇を創り上げる。左:中谷蒼介さん(高校1年生)、右:松尾治輝さん(高校1年生)1891年創立/普通科/生徒数1954人(男子)。海軍予備校として創立され、1900年に海城学校に改称。創立の理念を受け継ぎ、「新しい紳士」の育成を目指す。2026 JAN. Vol.457 私は模擬国連に参加しているのですが、わかり合えないなかで共通点を見出し、意見を擦り合わせてかたちにしていくプロセスは、まさに演劇と共通しています。また、演劇での学びを活かして、模擬国連や部活などの場でも意見を出しやすい雰囲気づくりを大事にしています。演劇のワークショップではランダムにグループが組まれます。普段あまり話したことのないクラスメイトと意見を交わし合い演劇を創るなかで、お互いの知らなかった一面や意外な一面が見えるのも面白いところです。(中谷さん) 最初は演じるのが恥ずかしく、自分のキャラを脱いで役に入り込むことに難しさを感じていました。しかし、次第に慣れて人前で演じる度胸がつき、声も張れるようになり、キャラが変わることへの抵抗感もなくなりました。演劇創りの場では、自分をオープンにすることになるので、お互いのことがよくわかり、仲が深まります。相手と話をする際には、まずは相手の意見を受け入れてから自分の意見を提示することも意識するようになりました。(松尾さん)学校データこ れ か ら の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 紐 解 く10年以上にわたり、体験学習の設生徒インタビューわかり合えないなかで共通点を見出すのが面白いキャラを変えることへの抵抗感がなくなった31
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