いう雰囲気が広がっているのではないでしょうか」(佐藤先生)開校3年目を迎え、着実に新しい学びの実践が進化し、生徒がやってみたいことに挑戦する機運が高まるなか、多様な生徒の成長が見られるという。 「目立つタイプではなくても、じっくり一つの課題に向き合い続けるなかで、地域の大人や他校の生徒と対話を通じて共感を広げ、必要な場面ではとことん前に出ていける生徒が育っています」(村井先生)また、今、進路選択の時期を迎えた1期生には、やってみたいことを起点として取り組んできた活動と、進路の方角が一体化していく例が目立つという。例えば、ある生徒は京都の魅力を自作のクイズで伝える活動のなかで、京都の安心・安全を守る仕事に就くという目標をもつようになった(nterviを用いたおにぎりを開発するプロジェクトに参加した生徒は、農家から食材の提供を受けたことをきっかけに農業に興味をもち、校庭の一部を開拓して農場を作り、野菜を育て始めた。その延長線上に進路を考え、農場をもつ大学への進学を目指している。 「いろんなものに興味関心をもち、実際にやってみることから一つの方向性を見いだし、進路先で深めていこうとする。そんな成長の姿が見られるのは本校ならではだと思います」(佐藤先生)まだ始まったばかりだ。 「生徒のやってみる精神には、まだ伸びしろがあります。もっと失敗を恐れず挑戦し、これは違うと思ったら迷わず手放しながら、自分に合うものを見つけていってew参照)。地域の特産品ほしい」(佐藤先生) 「内輪で満足せず、野心的な活動を促していきたい。また、生徒が自分たちで学校をつくっていくという意識を高め、生徒の自治を進めていきたい」(村井先生)軌道に乗り始めたさまざまな実践を有機的に結びつけ、生徒の成長を加速させていくことへの意気込みも聞かれる。 「生徒は『やってみたい』という良い種をたくさんもっています。それを実行するには教科の力も少なからず必要です。実際にやってみて、うまくいかない経験をしないと気づきにくいものですが、早期に気づけるような仕組みを作ることが目下の課題です。心からやりたいというエネルギーを、楽しく学ぶ基となる意欲につなげていきたいですね」(宮越先生)従来の枠組みにとらわれない同校の実践は、今後も学校現場に多くの示唆を与え続けそうだ。一段階深めたいと思わせるよう声掛けすることが大切です」(村井先生)そのためには生徒をつぶさに観察することが必要だ。1学年主任の佐藤隼平先生はこう話す。 「思考をフル回転させて生徒の状態を観察しています。動きが止まっている生徒がいたら、考えているだけか、困って動けないのかを見極めたうえで、必要な声掛けをするよう心掛けています」そのなかで生徒は、複数の探究を同時に行ったり、1サイクル終えて別の探究を始めたり、縦横無尽に探究活動を繰り返す。現在3年生には、プラスチックで服を作ったり、古代エジプトの一般人の暮らしを解明しようとしたりと、ユニークな探究が目立つ。「間に合わせではなく、自分の内面から生まれた探究に取り組んでいる」と村井先生は言う。やってみたいをやってみる機会は「協創」以外にもあり、その代表例が、生徒が立てた企画を実施する「New」だ。年数回、放課後に部活動も原則停止して開催し、昨年度は各回平均10件程度の生徒企画が実施された。各種スポーツ大会やクイズショー、楽器演奏会のほか、地域の大人や子どもを巻き込んで100人近くを集めて餅つき大会を開くなど、さまざまな企画に多くの生徒や教員が参加して盛り上がる。 「年々、生徒の企画数が増えるだけでなく、内容も多彩になってきています。『こんなこともやっていいのだ』と感じることでハードルが下がり、気軽に挑戦してみようとDayHORZON協創者の育成に向けた同校の挑戦は、II 探究のテーマと進路が一体化していく□□□□2026 JAN. Vol.457New HORIZON Dayで実施された餅つき大会。軽い気持ちで始めた生徒たちは、さまざまな準備や交渉が必要なことにやりながら気づいたが、諦めずに取り組み大盛況となった。 いろいろな課外活動に参加し、ほかの高校ではできない経験ができていると思います。特に印象深いのは、3 年間続けた祭り実行委員会です。文化祭や体育祭の企画・運営に携わり、3年生では中心メンバーとして新企画を立ち上げたこともあります。先生方との意見の違いを調整するために何度も話し合いを重ね、物事を決める難しさや対話の大切さを学びました。 私は中学生までは積極的なタイプではありませんでした。でも、課外活動に一度挑戦してみたらとても楽しく、「前にできたのだから次もやってみよう」と何度もやってみることで、「挑戦力」が身についたと思います。おにぎりの商品開発をするプロジェクトや国際交流などの経験が基で、将来は海外向けの商品企画や展開に関わる仕事をしてみたいと考えています。 開建高校の「やってみたいことをやってみる」という理念に惹かれて入学しました。1年生のころは自分のやりたいことがわからなかったけれど、「協創」の活動のなかで「地域のことにはすごく意欲が湧くな」と自覚するように。まだ知られていない京都の魅力を伝えたいという思いで、京都をテーマにしたクイズを作って校内外で大会を開くなどして発信してきました。最初は難題すぎてお客さんを困らせることもありましたが、次第に相手に合わせた出題ができるようになり、今は楽しみにしてくれている常連さんもいます。以前の自分は一つの捉え方を「これしかない」と思いがちでしたが、活動のなかでさまざまな方の考え方がインプットされ、視野が広がったように思います。将来は活動の延長線上で、地方公務員やNPOなどの職に就き、地域の人も観光客も安心して過ごせる京都をつくっていきたいです。(3年生・北野湧成さん)(3年生・山□璃子さん)Interview49挑戦力が身についたやりたいことを見つけ、将来像も明確に
元のページ ../index.html#49