2026 JAN. Vol.457みやさか・もとこ/小学校時代、多様な性格の児童がいるなかで、一人ひとりの良い面を評価してくれた担任の存在が、女性としてのロールモデルとなり、教職を目指す最初のきっかけに。早稲田大学文学部卒業後、私立の中高一貫校で国語科の教員として勤務し、結婚を機に退職。1997年、洗足学園に。教頭、副校長を経て2017年より現職。1924年創立。1948年洗足学園女子高等学校開校。目指す人物像として「常に成長を目指し努力し続けられる人物」(自立)、「世界で活躍できる能力を有した人物」(挑戦)、「謙虚に自分を見つめ喜んで奉仕できる慈愛に満ちた人物」(奉仕)を掲げる。2024年度卒業生による東京大学現役合格者数28人が話題に。国際教育も盛んで、帰国生を中心にアイビーリーグなど海外難関大学への進学実績も高い。まとめ/堀水潤一 撮影/安達貴之 私が国語科の教師として本校に赴任したのは1997年。少子化を前に危機感をもった教職員が一丸となり、女子校としての良さを活かしたまま、進学を意識した学校改革に邁進していた時期でした。それから20年を経た2017年。校長に就任した私は「3つの安心感を叶えられる日本一の学校にしましょう」と先生方に話しました。 1つ目は、生徒一人ひとりが「個」として認められる安心感。2つ目は、質の高い学びが受けられる安心感。3つ目が、それらによって希望の進路が実現できる安心感です。ここ数年特に、難関大学への進学実績で注目されていますが、本校に選抜クラスはなく、全員がそれぞれの個性を発揮しながら希望の進路へと羽ばたいています。 3つの安心感の前提として、教職員が安心して働ける環境である必要があります。かつては生徒のためにと大勢の教職員が遅くまで学校にいましたが、スピード感をもって働き方改革を進めると同時に、校長として先生方一人ひとりをよく見るようにしています。特洗足学園中学高校(神奈川・私立)51に若い先生は、悩みや不安に加え、こんなことをしたいという希望も多いと思われるため、月に1度は話を聞く時間を設けています。 本校のカリキュラムの屋台骨が、文系・理系クラスを問わず高3まで全員が、数学を含む5教科必修であることです。卒業生からはよく「進路の幅が広がった」と聞きますし、昨年度も「文系クラスだけど、どうしても歯学部に行きたい」と受験した生徒がいました。 音楽を軸とした芸術教育も本校の伝統です。中学段階で一人1楽器の習得を目指すため、高校進学後も、選択科目やクラブ活動で音楽と関わる生徒が大勢います。音楽系のクラブとして弦楽合奏、吹奏楽、合唱、軽音楽のほか、特別活動としてのオーケストラもあります。運動部や学校公認の研究会と掛け持ちする生徒も多く、中高合わせ200人近くが参加。2024年に日本武道館で行われた学園創立100周年記念式典での演奏は壮観でした。 このほか、哲学的対話や放課後の教養講座なども特色ですが、最も本校らしいのが、学外のコンテストや交流活動への参加、言わば“他流試合”の奨励です。模擬国連大会や日経STOCKリーグなど年間300種類以上。毎年計800人前後の生徒が、視野を広げるきっかけにしています。6年間目立った活動に参加しない生徒もいますが、その子なりにプラスの影響を受けているものです。「私は、一生懸命に取り組む友達を心から応援していたし、その姿を見て進路を決めることができた」と話す生徒もいました。見守るとか応援するという自分なりのやり方で、将来学びたいことを見つけたというのです。 積極的に見える生徒だけが何かを得ているのではありません。ですから教員は無理強いをしなければ、学校行事も含め余計な口を挟むこともありません。一人ひとりの「個」を認めサポートするだけ。希望の進路実現も、こうした挑戦できる環境や安心感の上にあるのだと信じています。3つの安心感で日本一の学校に校長就任時に教員と交わした約束高3まで5教科が必修音楽を軸とした情操教育も盛ん
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