防犯から美化活動までけない。それも私が見つけた魅力を教えるのではなく、その人ならではの視点で魅力を発見してもらえるように。「好きになって」と言うのは簡単ですが、本人の主体性によるところも多く、一筋縄ではいきません。それでも、自分の考えを押しつけず、街を本当に好きな人から、その街の魅力が伝播していくよう、試行錯誤しているところです。最近になって、スタッフや仲間が自分なりの川越の魅力を語れるようになった瞬間に立ち会うことも増えてきました。「この場所が好きだ」と笑顔で言ってくれる姿を見ると、それが街の未来につながるのだと感じます。誰かの視点が育ち、その人がまた誰かに川越の魅力を伝えていく。その循環こそ、地域が育つために大切な要素だと思えるようになりました。コロナ禍では街から人がいなくなり「人がいないと、私たちの商売はできない」という原点に立ち返りました。その期間も経て、今、私が最も大切にしているのは、「自分は地域と共にある」という感覚です。人力車は商店街をまたいで走り、さまざまな地域組織とも関わります。利益が出たなら地域に還元するのは当たり前。売り手と買い手に加えて、地域に関わるすべての人たちが得をする。そんな「三方良し」を実現しなければと思うのです。そこで私たちは、街の治安や景観を守る活動にも積極的に取り組んでいます。営業時間中は街に立ち、呼び込みをしていることもあって、毎朝掃除・美化活動を積極的に行います。さらに、道案内や落とし物対応、迷子対応まで。救命講習を受けて、倒れた人がいたら助けられるように。めの活動は、もちろん重要です。私もSNSを通じた広報活動に力を入れています。でも、ただ知ってもらって、たくさん観光客に来てもらえばいいのではないのです。観光客も住んでいる人も、楽しめる街になってほしい。オーバーツーリズムで「人が増えて嫌だな」という言葉を聞きたくないので、地域の防犯パトロール隊として活動したり、地域の集まりに参加して住人の思いを聞いたりと、できることはしていく。それが街にも人にも返っていくと信じています。ったので、また来ました」といった方をお乗せすることも多く、街での体験や印象が、その後につながることも実感しています。をしていると自分の力ではどうにもできないことが襲ってくることがあります。一人ひとりの力を、小さく感じることも。それでも今の川越の古い街並みを守り、残すことができたのは、先代の方たち一人ひとりが立ち上がり、街のために動いたからです。だからこそ、私の思いはシンプルで、今、地域の人に喜んでもらえることをやるだけ。見返りは求めません。人力車という目立つ存在だからこそ、川越の魅力を丁寧に見つめ、街のためになる活動をしていきたいです。川越をたくさんの人に知ってもらうた最近では「以前来たときにとても楽しかリーマンショックやコロナ禍など、事業2026 JAN. Vol.457□ 地域とのつながりを大切にしており、スタッフと共にお祭りに参加し、積極的に手伝いをすることもある。特に秋の川越まつりは大規模で、山車が街を練り歩き、市街地に大幅な交通規制がかかるほど賑わうという。□ 川越の伝統文化や歴史のガイドはもちろん、俥夫によって異なるおもてなしや、エンタメ性あふれるサービスがあるとか。人力車からの視界は目線が高いので、歩いているのとは違う街の魅力が見つかることも。12 地域の魅力は、外部の人が自ら見出せる余白に宿ると捉え、まず自分がその街を好きになり、現場で走りながら魅力を発掘していく。また他のスタッフに自分の考える魅力を押しつけず、それぞれに魅力を発見してもらう。自分の事業は「地域あってこそ」という考え。日々の清掃や地域の見守り、防犯活動など、一見すると事業外のことも積極的に行い、祭りや町内の活動にも足を運んで関係を構築。小さな実践の積み重ねで地域の未来をつくっていく。55
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