キャリアガイダンスVol.457
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また、社会問題の原因と結果を多面的に分析し、論拠をもって提案した経験は、大学受験にも生きることになった。「地元の大学をはじめ、総合型選抜では課題解決型の集団討論を行うところがあります。そこで生徒が根拠のある主張をすることに貢献できたかなと思います」課題解決型学習や探究学習の取組で、もう一つ目指していることがある。「生徒みんなが卒業できるようにする」ことだ。「探究学習のことを校外の勉強会にも参加して学ぶなかで、今の探究に、学校に来られなくなるほどの苦痛を感じる生徒もいることを知りました。進め方がよくわかないことの不安や、その状態でグループ活動を強いられる怖さとか。だからこそ課題解決や探究に挑むなら『どの段階でどんなことをすればいいか』、その解像度を上げたいのです。全体の枠組を作って指導すると『主体的活動でなくなる』という考えもありますが、私はまず、すべきことが不明確な状態をなくし、生徒が安心して活動できるようにしたいと思っています」域課題や探究の取り組み方についてレクチャーを充実させつつ、一方で小林先生は、それら活動で生徒が考えた提案については、協力してもらう地域関係者や大学教員に「高校生だからと甘めに評価せず、ダメな点も含めて思ったことをそのまま伝えてください」とお願いしてきた。「社会人から厳しい評価をもらい、生徒がプンプン怒ることもあります(笑)。高校生が真剣に考えたことには『がんばったね』などと子ども扱いせず、こちらも本音で接し、批判もする。それが私なりに思う、生徒に対して誠実であることです」とはいえ過保護にしたいのではない。地前任校は進学と就職をする生徒が半々で、教科学習に苦手意識をもつ者も多かった。それでも食品ロスやヤングケアラーの授業では、当事者との関わりや問題系図の作成で「どの政策にもメリットとデメリットがある」ことや「図にすると問題の現状や原因を捉えやすい」ことを生徒が体感。「分析力がついた」との感想も寄せられた。現任校での自主防災組織や福祉避難所の授業では、生徒が資料読解と問題系図・目的系図を基に政策を考え、当時者からの評価も得ることで、社会問題への理解が深まり、生徒の提案も具体的で現場に即したものになることを確認できた。課題分析や課題の議論に一定の自信をもつように社会人と本音で交わり自分の考えを深めていく□ □ □ □□ □□ 子どもや若者が懸命に考え、自発的に行動すると、その姿勢を讃えたいこともあって「批判されにくい状況」が生まれやすい。小林先生は外部の協力者に対して、評価を甘くせずダメ出しもしてほしいことを必ず伝えているという。左より2年生の五十嵐大雅さん、加藤 昊さん、齋藤 在社会問題の解決策を考える公民科の授業や、探究学習では、生徒が向き合う事象の因果関係をきちんと把握することを重視している。その過程を飛ばし、思い込みを基に調査や議論をすると、出発点からズレていて徒労に終わる。2026 JAN. Vol.457さん生徒が社会問題の解決策を考えたら、問題に関わる多方面の当事者から評価をもらうことも大事にしている。立場によって問題の捉え方が異なることを体感し、問題への理解を深め、皆が受け入れやすい提案を再検討するためだ。公民科の課題解決型学習は「問題解決の一例として公共政策学的アプローチを学ぶもの」と小林先生は言う。例えば食品ロスを、自然科学や情報技術の知見を基に解決する路線もあるからだ。そんな柔軟な発想も生徒と共有したい。     今と絡めて思想や政治を学び根拠をもって社会を見つめる―― 小林先生の公民の授業はどんな感じですか?五十嵐さん 板書を全部写すのでなく、タブレットに送られてくるスライドに要点を書き加える授業です。先生の雑談が面白くて、授業で習う思想や政治のことも、今と結びつけて話してくれます。加藤さん 教科書の内容に合わせてYouTube の動画とか、いろいろな資料も紹介してくれます。最近のニュースを先生がどう捉えたかも話してくれて、そんな考え方もあるんだ、とためになっています。―― 小林先生は探究学習にも深く関わっているそうですが、どんな探究をされてきましたか?齋藤さん 私たちの班は、統計資料を基に「なぜ日本は観光客数が世界上位か」という問いを立て、「外国人観光客の訪日目的」を調べました。旅館・ホテルの組合にアンケートをお願いし、結果を分析して。その過程で「今後も外国人観光客を増やしたいか」は意見が割れていることがわかり、今は「その背景に何があるか」も追っています。小林先生から教わったのは「根拠もなく思い込みで語らない」「鵜呑みにせず批判的に捉える」ことです。先行研究を調べ、データを□え、だからこう言えると論じる。こうしたやり方は、大学進学後もその先の社会でも役立つんじゃないかな、と思っています。生徒INTERVIEW61・ 社会問題について、原因と結果の因果関係や、個々の利益と公共の利益が衝突する社会的ジレンマを把握したうえで、社会全体が受容できるような解決策を探っていく人になってほしいと思っています。・ 探究学習でもまずは興味ある事象を正しく把握し、そのうえで事象に絡む問題の解決に挑んでほしいです。

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