大学の教育や研究では活用が進む生成AIだが、大学入試においては明確に生成AIを用いた事例は見られない。生成AIの使用が問題になるのは、主に志望理由書などの書類作成においてだろう。再び、鹿島さんに聞いた。 「文部科学省が2025年8月に出した指針では、教学面での生成AIの利活用方針と整合性をもたせた適切なルールを策定・運用することを大学側に求め、これを受けて各大学が選抜における留意事項や注意事項として方針を発表しています。例えば、総合型選抜などの書類作成において、生成AIの使用を禁じるところもあれば、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス実施のAO入生成AIを使用することを容認しています。また、生成AIが利用できない環境で小論文や志望理由を書かせることで、生成AIによる影響を回避しようとする向きも見られます。なお、大学の入試担当者に聞いたところ、ほとんどの方が、『現在の生成AITE試※3では、補助的ツールとしてProgram」をでない場合、最初は大雑把な質問から入り、生成AIの回答に対してさらに質問し、まずは視野を広げる。良さそうなテーマが見つかったら、そこから深掘りする。この作業を生成AIとの掛け合いでできるようになることで、思考が深まります」大学では研究の面でも生成AI Iの活用が進んでいる。伊藤先生自身も、研究論文を執筆するにあたり積極的に生成AIを活用していると言う。 「データの分析方法に迷った際に、どのような選択肢が考えられるかをリサーチしたり、自分のアイデアが新しいかどうかを検証したりと、大いに活用しています。学生の指導をしながら論文を書く時間を確保するのは容易ではないなか、生成AIのサポートがあることで効率が良くなり論文が書けるようになったことは、研究者としてありがたいですね。他分野との接点や融合テーマを見つけるのは人間よりも生成AIのほうが得意なので、今後は、生成AIの提案による分野横断型の研究なども進むのではないかと期待しています」レポートや論文の執筆に生成AIの活用は「あたりまえになるし、使わない手はない」と考える伊藤先生だが、懸念もあると言う。 「基礎科目の学力低下は心配しているところです。英語の翻訳を生成AIに任せる、数学の宿題を生成AIに解かせるといった安直な使い方をしてしまうと、十分な基礎学力が身につかなくなってしまいます。そうならないためにも、きちんとしたガイドラインの整備やリテラシー教育が必要です。生成AIをうまく使いこなせるようになるためにも、高校までに基礎学力をしっかりと身につけるという視点も大事だと思います」のレベルであれば、生成AIを用いて書いたかどうかはほぼ見抜ける』とのことでした」(鹿島さん)入学段階でどのような力をもった学生を求めるかは、大学によって異なる。辞書や電卓、スマホの持ち込みを可としている入試方式もあるなか、「そうしたツールの一つとして生成AIの使用を認める選抜方式が出てくる可能性はある」と鹿島さん。一方、「大学は正解のない問いに対して自分なりの答えを出すところ。どの大学も、受験生に〝あなた自身の解〟を求めることには変わりはないだろう」と強調する。また、生成AIの活用とはやや文脈が異なるが、立命館大学では、AIを活用した個別最適な学びと入試をセットにした選抜方式「UN実施。同様の選抜方式は共愛学園前橋国際大学などでも行われている。入試における今後の動向にも注目が集まる。今の高校生が社会に出たときには、「使わない」という選択肢はほぼないであろう生成AI。考える力を育むためのサポーターとしての生成AIの存在はより重要になりそうだ。大学入試での生成AIの利活用は、今後の課題研究でも進む生成AI活用。基礎学力の低下に懸念も※3 2025年9月入学・2026年4月入学者選抜2026 APR. Vol.45827 生成 AIは自分が楽をするためのツールではなく、自分を鍛えるためのサポーターであることを、生徒に明確に伝えることが大事だと思います。そのためにも、まずは先生方自身が生成AIを使ってみて、良いところもリスクも体感してみていただきたいと思います。生成 AI 活用のコツは、知識を尋ねるのではなく、データを与えて作業をさせること。生成AIを使う前提で、どのように生成 AIを使ったかという成果に至るプロセスを評価する、導き出したい解に対してどのようなプロンプト(生成AIへの指示・命令)が最適かを競い合う、GeminiとChatGPTで対決してみるなど、生成AIありきの授業を実践してみるのも面白いのではないでしょうか。 生成AIは今や産業界でも広く普及しており、就職面接ではどれくらい生成AIを使っているかが尋ねられる時代になっています。つまり、生成AI活用力は学生に求められる必須スキルの一つになっており、大学卒業までに育てないわけにはいきません。大学での学びや研究につながる高校の探究学習は、生成 AI 活用の機会の一つです。どのように使えばよいかというガイドラインを設計できると、よい方向に活用が進むのではないかと思います。A I 時 代 の 「 考 え る 力 」を ど う 育 む か東洋大学・中村周吾教授お茶の水女子大学・伊藤貴之教授
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