キャリアガイダンスVol.458
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世界中の研究の動向を追いながら、競合他社の特許にも気を配り、研究の方針を定め、実験と分析をして成果をまとめる。化学メーカーの日本曹達では、そうした研究開発のプロセス全体に生成AIを活用し、研究者の創造性を高めようとしている。目指すは、農業・医療・環境・AIで挑戦したことなどを、部門の垣根を越えて共有する会も定期開催、知見を蓄えていく。例えば製造部門では、人間の目と生成AIの両面で工場の現場の写真を分析、滑りやすい床などの注意箇所の発見を増やし、危険予知の精度を高めたという。こうした生成AIの活用で、「問題解決のスピードはあがってきた」と武久さんは感じている。そしてその変化によって、「今後は『問題を解決する能力』以上に、その前段階の『問いを立てる能力』が求められるのではないか」と思っているそうだ。実際、AIの知見を社員同士で共有する場でも、活用事例の話にとどまらず、「そもそもの問題は何か、そこをAIでどうするか」と本質的な問いから議論することが増えているという。「私自身、AIでいつか実現できたら、と思い描いていることがあるんです。研究者は問いを立てることに全力を注ぎ、その後の実験計画や実施・評価は、物理的な身体も備えたAIが強力にサポートしてくれる。そうした環境も自分たちで作り出せたら、すごく夢がありますよね」特殊なデータ(結晶のX線画像など)を、生成AIと一緒に読み解くことも。実験レポートの作成では、生成AIとの壁打ちによって論理構成を磨くそうだ。同社のAI活用は2019年より本格化する。社内にAIワーキンググループが立ち上がり、2023年にはDX全般を推進するグ組織「DSI(データサイエンスイニシアチブ)」に発展。これら組織に創設時より参画してきたのが、武久克磨さんだ。化学専攻の研究者で、AIのことは1から勉強。自身の研究に生かすなかで可能性を感じて惚れ込み、2024年からの全社への生成AIの導入も主導した。全社展開の際は「自由に使える環境」を目指したという。「契約した生成AIを上司の許可不要で使えるようにし、ガイドラインも策定しました」また、AIの出力に「責任をもつ」という考えも周知した。「AIはあくまでも思考補助。最終の判断や決定は人間が行うということを大事にしています」生成AIの全社への導入「問う」ことがより重要に研究の計画段階から分析や論考にもAI活用研究開発や製造の問題解決を、AIと協働で日本曹達の以下のサイトのAI活用の詳細は、武久さんの記事をご参照ください!日本曹達株式会社情報などの分野に役立つ素材を、化学の力で生み出すことだ。具体的に研究者は生成AIをどう使っているのだろう。例えば、自身の研究テーマに関連する文献や特許の調査に生成AIを活用、全体像をつかんだり方針を検討したりするという。自社の技術でどんな新素材を作れそうか、生成AIに問い、提案を受けて新たな視点を獲得、研究を広げたケースもある。            2026 APR. Vol.45832化学製品の研究開発に従事し、2019年よりAIワーキンググループに参画。実験に活用できるWebアプリケーションの開発で特許取得も。2024年より生成 AI の全社への導入を主導。 私の担当業務は生産調整。工場で作るさまざまな製品について「いつ何をどの順番で生産するか」といった計画を立てることです。本社の要請、設備の稼働、原料の在庫など、いろいろな条件を踏まえて考えないといけません。その計画の立案に、生成AIを活用しています。自分の考えをパソコンに打ち込んで整理し、抜けがないか、実現可能かをAIに問い、考えを煮詰めていくのです。 ただしAI の回答をすべて鵜呑みにしないように注意しています。学生時代にAIで文献調査し、間違えることがあるのを体験できたこともよかったと感じています。 私はまだ経験が浅いので、今はAIと一緒に考えたことを先輩方にも確認してもらい、最終的な計画をまとめています。AIの提案が正しいか、適切に判断できるよう、勉強を続けて業務への理解を深めていきたいです。生産本部 高岡工場 製造部 生産管理課 (取材当時)石井初佳さん研究統括部 兼 経営企画部兼 デジタル推進部 副主幹 武久克磨さん工場でも進む生成AI活用求められるのは判断する力

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