キャリアガイダンスVol.458
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生徒を、お仕着せの正解へと導くことは簡単かもしれませんが、それでは主体性も考える力も育ちません。学びとは、失敗し、「これが足りなかった」と気づいて初めて得られるもの。それこそ揺れや迷いのなかで時間をかけ、自分なりの考えや言葉に輪郭を与えていくものです。学びとは非効率なものなのです。生成AIがいとも簡単に正解らしきものを提示してくる時代だからこそ一層のこと、生徒の思考を辛抱強く待つ。もちろん、複数の大人で見取ったり、適切なタイミングで声をかけたり、居場所をたくさんつくったりしながらです。そうやって、生徒が自分自身で梯子をかけて「登れた」と実感する小さな成功体験を重ねていく。すると「自由ってしんどい」とトーンダウンした時期を乗り越えるときがきますし、学びが自走し始めます。さらに、必要なルールについて議論を始めるなど、自分たちで考え、行動するようになる。この、行動に繋がる点がポイントです。それに関連し、**did**や"       ng"。つまり、「やらなかった*i"I*"notNot意図と本当に合致しているのかなどのフィルターを通す行為は、自分でゼロから考えるよりも手間のかかる作業かもしれません。では教育現場でできることは何でしょう。一つは、生徒自身が考えるまで待つことではないでしょうか。ドルトン東京学園は、「自由と協働」を理念として掲げています。自由という点では、本校にはチャイムも校則も定期テストもありません。大人が考えた鋳型にはめ込めようとせず、自分たちで「学校の当たり前」を考えてほしいからです。ただし、ここで言う自由は放任とは違います。自分で考え、自分で行動し、その結果を自分で引き受けるということは、実はとてもしんどいこと。実際、入学したばかりの中学1年生に、「何をしてもいいよ」と言うと、最初こそ喜びますが、すぐに「どうしていいかわからない」という壁にぶつかります。「君はどうしたい?」「どう考えるの?」と問いかけても、何をしていいかわからず、先生に正解を求めたり、指示を待ったりする生徒も少なくありません。幼児化の傾向を示すのです。無理もありません。今の社会は、失敗させないようお膳立てをする〝先回りの文化〟で満ちています。天気予報では「明日は寒くなるので上着を持参ください」と気遣われ、企業や行政からも過剰なガイドが提供される。考える前に答えが用意されている世界では、自分で判断したつもりでも、実際には誰かが提示した選択肢から選んでいるに過ぎないのです。ある動画を紹介させてください。ニューヨークの街角に黒板を設置し、道行く人に「人生で一番後悔していることは何ですか?」と問い掛けたYouTube動画です。「MBAを取得しなかったこと」「俳優の道を追求しなかったこと」など、多くの言葉が並ぶなか、意外にも失敗したことに関する後悔は多くはありません。大半は、こと」に対する後悔でした。何が言いたいかというと、ここまで私は「自分の頭で考えること」の大切さを述べてきたわけですが、考えただけではダメで、行動を伴う必要があるということ。生成AIが思考を支援する道具となり得るからこそ、行動することの価値はより高まるはずです。主体性は理念ではなく、経験を通じて育ちます。学校はその土台をつくる場所でありたいし、教師は、こうしたnotを外す役割を果たしたいと思っています。だから私たちは生徒にこう伝えます。恐れずに進めと。学びとは非効率なもの生徒自ら考え動くのを待つ自由は放任とは違う結果を引き受ける覚悟が伴う2026 APR. Vol.45835やすい・ながとし●1982年滋賀県の女子高校で教職をスタート。2002 年に退職し、ローカルFM局の設立、運営に携わるほか、個人事業主としてインターネット接続サポート事業に従事。2006年教育現場に復帰。滋賀学園中学校・高校、沖縄アミークスインターナショナル小学校・中学校校長などを経て、2019年ドルトン東京学園中等部・高等部参事(副校長補佐)。副校長を経て2022年7月より現職。学校法人河合塾学園理事。ドルトン東京学園中等部・高等部校長 安居長敏

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