キャリアガイダンスVol.458
41/67

公の心理について生成AIとの対話で考察を深めて論文の形にまとめる生徒、AIツールを使って効率的にキーワードの図解やプレゼンテーション資料を作成する生徒など、進め方は多様だ。最近では、AIと対話しながらコードを生成する手法によって、小説の世界観をゲームで表現する取組も。「一度で面白いゲームを作ることはできず、その改良には教材との往還や他者が感じる面白さの考察が必要。これも学びを広げる方法の一つ」だという。それぞれのアウトプットと学んだことは、ワールドカフェ形式のミーティングで伝え合い、お互いに新たな気づきを得る。「自分が考えて発見したことはみんなに伝えたくなるもの」。アウトプット内容を外部に発信、発表する生徒もいる。 「本校の生徒は、教員に教えられたことを非常に高いレベルで行う力をもっています。しかし、私たちが育てたいのは『教わるプロフェッショナル』だけではありません。教員がスタートとゴールを示す指向性のある学びのみに留まらず、自分で面白いと感じることを軸に楽しみながらダイナミックに学ぶ、広がる学びを支援していきたいと思います」(戸川先生)試行錯誤で取り組んできた生成AI。現在は多くの授業で、教員が場面や使い方を指定せずとも生徒が必要に応じて普段使いをするようになった。「生成AIは思考の幅を広げるのに非常に有効。生徒は、楽をするためではなく、自分が学ぶために生成AIを使っているようです。また教員側も、生成AIで簡単に済ませられない課題の出し方を工夫しています」(山□先生)生成AIがディスカッションの相手や作品制作の伴走者などさまざまな役割を果たすなかで、教師の役割意識も変化している。ではなく、学びのリソースの一つ。教室内に新たな考え方や学び方をもたらすために、リアルな人のつながりや技術を紹介することがより重要になるのではないでしょうか」(戸川先生)授業は生徒が主体的に学ぶ場に変化しつつある。今後について「AIを活用して生徒自身による評価も可能になるのでは」と期待する声も聞こえてくる。面白いことができるか考えて」という声かけから始まる(授業例③)。生徒は興味関心に基づいてテーマを設定してプロジェクトを進める。使用するツールやアウトプットの形は自由だ。「面白いことをするには、まず教材をよく学ぶ必要がある。YouTube動画の視聴や生成AIとの対話からヒントをもらうなどしながら、教員の指示を待たずに生徒自ら動いて学んでいく」と戸川先生。事典で調べた事実から独自の解釈を文章で表現する生徒もいれば、主人      「教師は唯一絶対の正解情報提供者教室の外とつなぐことが教員の重要な役割に1923年創立/普通科/生徒数708人(男子384人・女子324人)/北海道内屈指の進学校。文部科学省リーディングDXスクール令和6年度・7年度事業および令和6年度生成AIパイロット校指定校。2026 APR. Vol.458元々は物理があまり得意ではないのですが、授業で生成AIに物理現象を文章で説明する取組を重ねるなかで、あいまいにわかったつもりになっていたことをしっかり理解するようになったと感じています。問題を解くときも、ただ公式を当てはめるのではなく、現象のイメージをもって考えられるようになってきました。ほかの授業でも、生成AIを使っていい場面が増えています。生成AIは間違いや矛盾した回答をすることがあるので、自分で確認する目をもち、おかしなところは「違うんじゃない?」と問い返すなかで、より深く考える力になっていると思います。(3年生・篠崎有真さん)美術の授業では、自分が作った作品に対して生成AIにアドバイスをもらうという使い方をしています。自分だけだと同じ方向からの見方に偏ってしまいますが、AIは肯定とアドバイスの両方をくれるので、新しい視点に気づくことが多いです。作品づくりのどのタイミングで生成AIを使うかは人それぞれです。美術だけでなくほかの勉強でもそうですが、最初から生成AIに教えてもらうと、それしか頭に入らなくなってしまいます。やっぱりまず自分で考えて、その補足として生成AIを活用するのがよいと思っています。(1年生・久保田 朋さん)学校データA I 時 代 の 「 考 え る 力 」を ど う 育 む かA I 時 代 の 「 考 え る 力 」を ど う 育 む か国語「わかったつもり」から他者に説明できる理解へ41自分にはない新しい視点に気づく

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る