市に工場のあるNECプラットフォームズに協力を依頼したところ、快く受け入れていただきました」こうして2024年度からは、NECプラットフォームズによる「DXセミナー」がスタート。年3回、2年生の総合的な探究の時間を使って行い、生徒はDXとは何かといった基礎や、顔認証や生成AIツールなどの最先端のDX技術について学び、工場見学にも訪れた。同時に進めたのが、旭化成と連携した「生成AI講座」の構築だ。社会において生成AIの利用が広がるなか、「高校でもリテラシー教育が必要だという課題意識はあったが、適切に教えるノウハウがなかった」と熊谷先生は振り返る。「生徒にアンケートをとったところ、1、2年生の約3割が学習において生成AIを使っていました。便利なツールですから、生徒は探究でも使うようになるでしょう。そして、社会に出れば、使いこなすことが求められるでしょう。それならば、使うなと禁じる指導ではなく、正しい使い方、より便利な使い方を学んでもらい、道具として使いこなせるようになってもらうしかないと考えました。半ば飛び込みのお願いを受けていただいた旭化成には、感謝しかありません」約1年の準備期間を経て、2025年度から旭化成による「生成AI講座」がスタート。1年生を対象に総合的な探究の時間のなかで年6回開講し、最初の4回富士東高校では、「しののめ探究」と称した探究学習に取り組んできた。大学進学を目指す生徒が多いなか、「大学での学びや研究の助走となるよう、アカデミックな探究学習を意識してきた」と副校長の熊谷先生。静岡県立大学と連携し、大学生アドバイザーに授業に入ってもらったり講義をしてもらったりすることで、大学での研究の一端に触れるといった取組もして きた。2024年度からは文部科学省「DXハイスクール(高等学校DX加速化推進事業)」の指定を受け、DX人材の育成に着手。さらに、2025年度からは三菱みらい育成財団の助成事業に採択され、現在は、NECプラットフォームズ(株)、旭化成(株)などと連携し、「探究×DX」を掲げて新たな取組を進めている。校長、教頭と共に本取組を牽引してきた熊谷先生は、その背景や経緯について次のように説明する。「時代はDXの流れにあり、生徒の将来を考えるとDX人材の育成という視点は不可欠です。生徒には、実際にDXが進む職場環境を見て、そこで働く人たちの話を聞いて、大学の先にどんな世界が広がっているのかを知り、視野を広げてほしいという思いもありました。これを実現するには外部の力を頼るしかないと考え、掛川旭化成の協力を得て、「生成AI講座」を開講DXハイスクールとして「探究×DX」がスタート2026 APR. Vol.4581 9 7 8 年 創 立 / 普 通 科 / 生 徒 数521人(男子272人・女子249人)/進路状況(2025年3月卒業)大学190人、短大5人、専門学校6人、就職0人、そのほか6人DX ハイスクール事業の主担当を務める、副校長の熊谷 仁先生。取材・文/笹原風花探究の手法を学びつつ、年6回の「生成AI講座」を受講。大学生アドバイザーのサポートを受けつつ、自分の興味・関心からテーマを定め、問いを立て、作成した「探究計画書」に基づき探究を進める。興味・関心が近い仲間と共に、グループ探究に取り組む。テーマ決めから成果報告会での発表まで、チームで協働する。年3回の「DXセミナー」も受講。最先端のDX 技術に触れ、社会についての理解を深める。2年間の学びを踏まえ、自身の進路に向けて探究を進める。どの大学・学部で何を学ぶか、大学卒業後にいかに社会と関わるかを深め、進路決定につなげる。● 年間スケジュール(普通科)探究基礎力を身につけ、個人探究に取り組む社会の課題を見つけ、仲間と共に探究に励む2年間の学びから、社会にどう貢献するかを考える47本格実施から丸4年が経った「総合的な探究の時間」。現場で試行錯誤が続くなか、実践のヒントとなる探究の事例をご紹介します。
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