字幕の枚数は1公演で400枚から2000枚ほど。光の強さやフェードイン、フェードアウトの速度は事前に調整して1枚ずつ細かく設定している。 「1枚の字幕に表示できる文字数には制限があるため、お客様が読み切れるよう、翻訳作家さんとも調整を重ねます。本番では楽譜を追う『キュー出し』スタッフと二人三脚で動きますが、ただ合図を待つわけではありません。原稿にキャストの立ち位置やタイミングを細かくメモし、舞台全体に気を配りながら手元のコントローラーを操作しているんです」作品によっては字幕を見て物語を理解するお客様も多く、だからこそ仕事の責任とやりがいは大きい。 「例えばパーティーのシーンでは明るく出して、どんよりしたシーンでは照明に合わオペラや演劇、ミュージカルで外国語のセリフや歌詞を表示する舞台字幕。その字幕編集や操作を担当しているのが、「舞台字幕オペレーター」の藤原さんだ。後ろにすぐ隠れていましたね」中学ではバレーボール部へ所属し、高校は普通科の文系コースへ進んだ。学に行きたいと考えました。だけど母も姉も医療系。そちらの道を勧められるだろうとなかなか言い出せず。学校の友人にもほとんど相談しないで、こっそり資料請求をしては机に隠していました」音楽大学進学への最終的な後押しは、7歳上の姉からもらった言葉だった。 「ちょっとした手紙でしたが『自分の好きな道を選んでいいんだよ』と書いてありました。おかげで何というか吹っ切れられて。音楽大学へ進む覚悟ができたんです」音楽は好きだったものの、ピアノの発表会など舞台に立つのは苦手だった。だからこそ裏方として音楽の世界に携わりたいと、大学では舞台制作を勉強。就職説明会で知ったZmakuプラスに入社した。 「日本中の劇場に行きます。新国立劇場オペラパレスには電光掲示板が常設されていますが、それ以外の場所ではボルトで連結させ組み立てるところから設営開始。舞台裏から操作し、事前に作った字幕を1枚ずつ送り出していきます」せてゆっくり消す、などさまざまです。『字幕があったおかげで没頭できた』と言っていただけるのが一番のやりがいですね」将来を考えるとき、決して焦る必要はないと話す藤原さん。 「私は音大進学を決断するのがすごく遅く、就職も大学卒業のギリギリまで決まりませんでした。でも、自分の『好き』を信じて進んだ結果、今の仕事につながった。友達や家族と比べると焦ってしまうかもしれないけれど、実はそんな必要は全然なくて。ちょっとでも気になることがあるなら、それを深掘りしてみる。遠回りでもいいから、少しずつ前に進んでみることが何よりも近道になると思います」i5 「引っ込み思案な子どもだったので、母の 「保育園からピアノを習っていて、音楽大周囲に内緒でこっそりと音楽大学へ進むことを夢見る自分の「好き」を信じて焦らず、少しずつ進む作品を理解するための手助けとなる舞台字幕喜劇作品の担当時、タイミングよく字幕を出して客席から大きな笑い声が上がると嬉しい。機材設営からリハーサル、本番、撤収までを一日でやらないといけない現場は体力面が大変。環境の変化に柔軟で、それを楽しめる人。自分から行動でき、前向きにコツコツ取り組める人。公演中は手元にあるコントローラーで字幕を送り出していく。右を押すと次のセリフに進み、左を押すと字幕が消える。2026 APR. Vol.458新国立劇場オペラ『リゴレット』のリハーサル風景。左右4つの電光掲示板に、日本語と英語で字幕が表示されている。字幕用の電光掲示板は町工場の職人さんと一緒に開発したもの。100kgほどになる機材を現場で組み上げ設置する。
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