場も関係なく、同じ地平に立って同じ水平線を眺めているんですよね。その先にどんな島があるんだろう、と互いに目を凝らし、一緒に船をつくって探索しに行くのは、本当にわくわくするし、それこそが学問の楽しさだと思うんです」くわく感やドキドキ感を味わったり」実際、生徒たちは自分の成長を感じているようだ。物事を学ぶこと、言葉を学ぶことについて、1年間を通した授業の感想には、次のような声が寄せられた。「自分で調べることができるようになった。ここは書かなくていいなど、自分で判断し、文をまとめられるようになった」「たとえ関心がなくても、本気で調べれば知識が広がり、興味も出るのだと学んだ」「AIを疑うことも大切なのだと気づくことができた。自分の知っている言葉で伝えたいことをどう表現するかを学んだ」「自分を見つめて、足りない部分や伸ばすところを再認識して、成長できた」早野先生にとって一番楽しいのは、そんな生徒たちと「お互いに知らないことを、疑問として共有したとき」だという。「『先生これどういうこと?』『いや俺もわからんわ』みたいな。その瞬間は年齢も立生成AIでも何でも使って課題に取り組む授業を進めていくと、生徒たちには二つの変化が見られるようになった。一つは、「難しい!」「終わらん」などと「学ぶことのしんどさ」を口にするようになったこと。もう一つは、にもかかわらず、以前はすぐ投げ出していた生徒も含めて、皆が課題を仕上げてくれるようになったことだ。ときには家に持ち帰ってまで。早野先生はそれが嬉しいという。「苦労の先にある達成感を楽しんでくれるようになったのかな、と思うんです。ゴールまでたどりつくことで成長を感じたり、懸命にやるなかで何かが生まれそうなわ言葉を使った探究を教員と一緒に楽しむ左より3年生の藤原タンヤさん、渡邉麻央さん言葉を自分のものにするには、生徒がその言葉を使って認識・表現したいものを見出すことが大事。だから今まではメモを取る、要約するなど「言葉を書く」活動を重視してきたそう。自ら選んで記した言葉こそ、体に染み込む。2026 APR. Vol.458個別に生徒と関わる早野先生。生成AIの学習支援もあり、教員は「生徒の思考や探究を促す」分野に集中しやすくなったと感じている。古典の読解では、単語の学習などで生徒をその世界に「近づける」だけでなく、生徒がその世界に「吸い寄せられる」引力も探している。例えば、現代にも通じる「 敬語から透ける人間関係 」を読み解くと面白いのでは?などと。人間が言葉をすべて書かず、生成 AI に下書きや添削をさせる時代に。それでも言葉を自分のものにできるよう、今の授業では、文章作成に生成 AIを活用しつつ、AI の提案から生徒が「言葉を選択する」過程も重視している。チャイムで始まりチャイムで終わることを、教員がまず徹底し、どんな事情にせよ開始が遅れたら生徒に謝る。立場は違ってもルールの下では対等であることを示し、互いを信頼し、安心して学び合える環境を目指している。 自分と先生とAIで補い合って一緒に学ぶのが楽しかった──国語の授業でどんなことをしましたか?藤原さん 古典の調べものとかにAIを使うんですが、「やり方違うかも」と思うことも早野先生は「やってみよう」と肯定してくれます。それでいて普段は、私たちと口論というか、意見の言い合いもします。「自分はこう思う、みんなはどう?」って。渡邉さん 志望動機を書きました。地元の小学生のための企画をしたら楽しくて、教員に興味をもった時期で、その気持ちをAIや早野先生とやり取りして、考えをまとめたんです。その次の地域プレゼンの授業では、私、勉強が苦手なのに、発表スライドに独学で音楽まで入れることができました。──授業で成長したと思う部分はありますか?藤原さん 自分の力と先生とAIで補い合っていいものを作る面白さを学びました。看護師を目指す私のことを、先生は自分のことのように考えてくれた。AIは、間違えることもあるけれど自分にない言葉の選択肢をくれた。意思を明確にして、自分を表現することができるようになったし、それが楽しかったです。渡邉さん 逃げずに挑戦するようになりました。あと、学校の先生は私の中でずっと「一つ壁がある存在」だったけど、「一緒に学ぶ」ことができるのだと知りました。春から大学で教員を目指します! 生徒INTERVIEW55・ さまざまな言葉を自分のものにすることで、この世界を広く深く知ってほしいです。古典から現代文まで、文章を読んだときに頭の中に作られていく豊かな世界も楽しめるようになってほしいと思っています。・ 自分で学ぶことができるという自信と、探究するのが楽しいという実感も、ぜひ手にしてほしいです。
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