キャリアガイダンスVol.458
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学の学長に就任する以前、私は国公立大学に長く籍を置いていました。その間、専門である教育制度学の見地から、弾力的な学制改革や学習成果の可視化、内部質保証システムの構築など、大学改革の渦中に身を置いてきました。山梨県立大学学長時代の2021年度には、国立・公立など設置者の枠を超えて連携を行う「大学等連携推進法人」を他に先駆けて誕生させています。こうした経験から断言できるのは「理念なき改革は失敗する」「ポリシーなき改革に意味はない」ということ。近年の教育改革には、政治的思惑で導入され、現場に混乱を招いた施策も少なくないように思います。その点、本学には「自主独立」に基づく人間教育といった建学の精神や理念があります。改革に際しても「学生のことを考え、常にイノベーションを起こすこと!」と掲げ、これを具現化する三本の矢である「地域貢献力の向上」「R-T-Sネクサス(研究・教育・学修の統合)の実現」「教学マネジメント」(学修者本位の教育実現)それぞれについて基本ポリシー・指針を策定し、実行に移しているところです。2027年4月の設置を目指す「人間科学群」(仮称・設置構想中)もその一つ。データサイエンスも活用しながら、心理や健康増進について総合的に学ぶ学位プログラムです。既存の複数の学部が協力し、教育資源を柔軟に運用する「学部等連係課程制度」を活用した新たな取組であり、組織中心からカリキュラム中心の考え方への移行を具体化したものです。研究・教育・学修の各分野において教職員の表彰制度を整え、学外での研修に学長裁量経費を当てるほか、学生代表6人からなる学生FD部会を設置するなど、ガバナンス改革も進めています。通勤中の電車内やキャンパス各所で本学学生の真面目かつ前向きな態度に日々接している立場として、また、伝統や校風といったヒドゥンカリキュラムに価値を見出す身として、大学運営のパートナーでもある学生の経営参画に大いに期待しています。その学生の約8割は地元出身であ本    り、また8割近くが県内に就職するなど、本学は完全なる地域密着型の大学です。地域に根ざしながらも、AIや情報分野に精通し、かつグローバルな視点をもつグローカル人材の養成が急務です。そのため、地元産業界のトップリーダーを招いた連続リレー講義やPBLなどを積極的に開催。地域と連携した科目は、全学あわせて延べ400近くに及びます。なかでも、地域の自然・文化資産を学びの素材とし、地元の魅力を再発見する「信州山学マイスター養成プログラム」は地元愛の強い学生に人気を博しています。同一学校法人には、全国的な知名度を誇る高校もあり、128年の歴史をもつ同窓会も存在します。高大接続という言葉がありますが、私は、高校・大学・社会を一本の線で繋ぐ「高大社接続」を意識しています。入試や就活という点ではなく、一人ひとりの生徒・学生が歩む成長という線を評価する学校文化を創り続けたいのです。学長プロフィール しみず・かずひこ●1952年生まれ。東京教育大学卒業。筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。筑波大学で副学長・理事を務めた後、山梨県立大学理事長・学長、山梨大学理事・副学長、聖徳大学学長特別補佐を経て、2024年4月より現職。この間、米国ペンシルバニア大学、ミネソタ大学、ミズーリ大学客員研究員。専門は教育制度学。博士(教育学)。日本教育制度学会会長、全国大学実務教育協会会長。大学プロフィール 1898年創立。1953年松商学園短期大学(現 松本大学松商短期大学部)開学。2002年松本大学開学。総合経営学部(総合経営学科、観光ホスピタリティ学科)、人間健康学部(健康栄養学科、スポーツ健康学科)、教育学部(学校教育学科)、松商短期大学部(商学科、経営情報学科)、大学院(健康科学研究科、総合経営研究科)。同一学校法人に松商学園高校、松本秀峰中等教育学校。長野県松本市。2026 APR. Vol.45859まとめ/堀水潤一 撮影/竹内望菜

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