仲間とつながる楽しさが、町の未来を創るんですちは祖父の代から紀州南高梅とみかんの農園を経営していてい鳥獣害対策抜きにはできない農業を、地域の子どもたちはやりたいと思うだろうかと、危機感をもちました。そこで、動物の命に感謝してジビエとして無駄なく活かす仕組みを作ろうと、ジビエ解体・加工施設の創設に向けて動き出しました。人づてに出会った腕利きのジビエ職人を「一緒にやろう」と巻き込み、地域住民にも丁寧に趣旨を説明して賛成を取りつけて施設を開設。市外の農家にも広く協力を呼び掛け、安定的にジビエ生産・販売ができる仕組みをみんなで作りました。鳥獣害の背景には、耕作放棄地の増加や農家の後継者不足などさまざまな課題があり、根本的な解決には新規就農の拡大が不可欠です。その仕組みづくりのため、狩猟チームの仲間と日向屋を設立しました。耕作放棄地を再生し、そこに新規就農者を呼び込み、農産物の加工・販売も行っています。その活動内容と意義を講演やSNSで発信するなか、賛同者が全国から集まり、一緒に仕事をしています。応援してくれる県外の関係人口も増え、例えば東京のイベント出展の際には現地の皆さんが大勢手伝いに来てくれるようになりました。今後やってみたいのは、この地で培った農業の課題解決の経験・スキルを、ほかの地域で活かすこと。一つの場所に固執せず、「楽しい」を原動力に、いつまでもチャレンジャーであり続けます。ます。25歳のとき、長男としての自分なりの責任感から、県内のホテルを辞めて実家で農業を継ぎました。サービス業から一転、何もしゃべらない梅やみかんの木と向き合う毎日。人との関わりが少ないことがストレスで、最初は楽しくありませんでした。あるとき、農家の儲けが少ない構造う に疑問をもち、提示された値段で卸すのでなく、「自分で生産した物に、自分で値段をつけて売りたい」と考えるように。みかん生産の少ない他県の道の駅に目をつけ、得意のコミュニケーション力を活かして、「おいしいみかんを作っているので販売させてください!」とガンガン飛び込み営業して回り、少しずつ直販に移行。梅についても、独自に販路を開拓していきました。そのなかで農業が面白いと感じるようになっていき、自分はただ作るだけでなく、人と人をつないで課題解決する〝サービス業〟なのだと気づいたのです。そのころ地域では、シカやイノシシが農作物を食い荒らす獣害が急増していました。自分たちの畑は自分たちで守るしかないと、地域の若手でチームを結成し、狩猟免許を取得。力を合わせ、1年間で約120頭を捕獲しました。地域の方にも感謝され、私も嬉しかったのですが、次第に人の都合で命を奪う行為にしんどさを感じるようになり…。2026 JUL. Vol.45915おかもと・かずのり●1979年生まれ。ホテル勤務を経て、和歌山県田辺市の実家・岡本農園を承継。鳥獣害対策のための狩猟チーム結成や、ジビエ解体・加工施設「ひなたの杜」創設を主導。2018年に株式会社日向屋設立。同社の取組は令和4年度鳥獣対策優良活動表彰農林水産大臣賞ほか受賞。耕作放棄地を再生した梅畑にて取材・文/藤崎雅子 撮影/津守崇宏地域に根ざし、未来を織りなす仕事岡本農園 代表/株式会社日向屋 代表取締役岡本和宜さん
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