くりに携わりたい」と語ってくれた。出島的存在であるのくにプロジェクト 社会を実現する環境教育推進事業」のに対し、そこで得られたつながりや知見を校内での実践につなげたのが、3年次の課題研究のゼミの一つ「紙漉き文化再生プロジェクト」だ。かつて都城市で盛んだった紙漉き産業の再生を目指し、地域での紙漉きワークショップの開催や和紙を使った商品開発などに取り組んでいる。例えば昨年度は、地元の酒造メーカーと協力し、焼酎の蒸留過程で出る廃棄物を混ぜたリジェネラティブ和紙を開発した。2024年度に県より「循環型指定を受け、「地域の人との雑談のなかで紙漉きのことを知り、環境教育とかけ合わせたら面白いと思った」と北郷先生は経緯を振り返る。紙漉き文化再生プロジェクトも、仕掛け人は北郷先生だが、主体になって進めるのは生徒たちだ。先輩たちの課題研究の発表や記録(研究日誌)、動画などから紙漉きの伝統や手法を学ぶことから始まる。田中さくらさん(3年生)は、「先輩たちの活動を受け継ぎたい、紙漉きをやってみたい、地域の人とつながりたい」という思いから選択。仲間と試行錯誤しつつ紙漉きの技術を習得し、5月には第一弾として地域の高齢者に向けたワークショップを開催した。プロジェクト活動を通して「消えつつある地域文化の再生に携わっているんだという誇りが生まれた」と話す田中さん。紙漉きのことを伝えたい、という思いでワークショップに臨んだ。一方、高齢者と話をするなかで、「昔は障子の張り替えのときに、剥がした和紙を溶かしてもう一度和紙に漉き直していた」と教わり、「紙漉き文化の知見がまた一つ増えた」と言う。人前で話すのが苦手だったが、ワークショップやその準備をするなかで、「地域の大人や高齢者の方と話す機会が増え、自分にはない考え方や見方を知ることができた。人と話すことで視野が広がり、自分も成長できるんだと感じ、地域の人ともっと話してみたいと思うようになった」と自身の変化を語る。地元・宮崎が大好きだと言い、卒業後は宮崎大学地域資源創成学部で地域と経営について学び、将来は「宮崎の人がずっと住み続けたいと思えるまちをつくる仕事に就きたい」と話してくれた。こうした取組により、同校は第14回キャリア教育推進連携表彰で最優秀賞を受賞した。実際、卒業したのくにプロジェクトの初代メンバーは、ソーシャルイノベーターや地域の魅力を発信する編集者、地元の高校生と関わる仕事などに関心をもち、それぞれの道を歩んでいる。生徒たちを「共にイノベーションを起こす仲間」と称する北郷先生は、「生徒と同じフィールドに立って、同じ目線で考え、挑戦し続けたい」と言う。「学校から地域に飛び出すことで、生徒には、いろんな人に出会い、いろんな職業や生き方に触れ、たくさんの選択肢があることを知ってほしいと思っています。そして、地域の眠った魅力を掘り起こす面白さを体感し、この地域にはもっと何かあるんじゃないかという期待感をもってくれたら…と願っています。すでにあるものの価値に改めて目を向けることにこそ、地域における新しい価値創出の本質があると思うんです。これからも尊敬できる仲間たちと、地域でイノベーションを起こしていきたいと思っています」アをかたちにする難しさに直面しつつ、場所探しから改修・内装まで地域の人々の協力を得て、昨年7月、薬局の跡地を改装した拠点がオープン。現在は、生徒主催のイベントや地域の事業者とコラボした企画などを定期的に開催している。「実験できる場所、失敗しても大丈夫な場所という意味でラボと名づけた。自分たちが考えたことを実際に社会にぶつけてみることが大事」と北郷先生。実際、「自信満々で地域の人にプレゼンしたらダメ出しをされたこともあるし、イベントにお客さんが全然来なかったこともある」と有薗さん。失敗から学んだ教訓は「イベント10ヶ条」として共有し、経験を活かし合い改善を重ねている。のくにプロジェクトを通して地域の人々とふれあい、その笑顔を見るなかで、有薗さんは「地域の人たちも、集まれる場所が欲しかったのかもしれない」と気づいたと言う。有薗さん自身は、幼い頃から近所の高齢者の方々にかわいがってもらい、餅つき大会やラジオ体操といった地域のイベントにも参加してきた。しかし、コロナ禍でこうしたイベントがほとんどなくなり、「つながりも希薄になってしまった」と感じている。実際、小学生の妹は地域との交流があまりないそうだ。「世代を超えて地域の人と人とがもっとつながれたらいいと思うし、将来は、そういう地域の場づ消えつつある紙漉き文化を再生。地域の眠った魅力を掘り起こす33【右】楮(こうぞ)や水の量を調整し、記録をつけながら紙漉きに励む生徒たち。【左】今年5月に開催したワークショップでは、先輩たちから受け継いだ「紙漉き文化再生プロジェクト」の取組についても紹介。2026 JUL. Vol.4591904年創立/商業マネジメント科、情報ソリューション科/進路状況(2026年3月卒業)大学46人、短大10人、専門学校55人、就職42人/Instagram「のくにラボ」(@nokuni_lab)「紙漉き文化再生プロジェクト」(@re_mknj_washi)地域に根ざし、未来を織りなす仕事学校データ
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