キャリアガイダンスVol.459
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動かないのが一番の失敗していた人でした。土台となる人間関係があったから、母の地域食堂には地域の人たちがすぐに来てくれた。でも、私にはその土台がない。病院勤務時代には気にもしなかった「知っていただき、お客さんに選ばれなければ、仕事が成り立たない」という当たり前の現実に直面したのです。手当たり次第に「やってみよう」と思ったことを試しました。お客さんに喜ばれる商品を探るため、手を替え品を替え100種類のおむすびを作ったことも。反応がまったくないこともたくさんありましたが「これは効果がない、というデータが取れたな」と、なんとか前向きに捉えるようにしていました。心が折れかけたころ、友人が「店のカウンターをもっと前に出して、ドアも外したら?」と助言をくれました。真冬の時期でしたが、素直に取り入れてみたら、店が認知され、なんと売れるようになった。試行錯誤の連続で、常連さんも増え、経営も上向きになっていきました。関係性ができてから「実は看護師なんですよ」と明かすと、「ちょっと血圧が高くて」「最近食欲がなくて」と、ちょっとした悩みを打ち明けてくれる方も多いです。話題作りの仕掛けとして、お店のカウンターには血圧計も置いてあり、測定するとポイントが貯まり、おむすび引き換え券と交換できる仕組み。行政の相談窓口には行きづらくても、「おむすびを買いに来た」という口実があれば、人は足を運びやすくなります。日常の動線上にあり、ふらっと立ち寄れる場所。少しずつ、そんな理想の場所に近づいているかなと思います。に何かしたい」と熱い思いをもっている生徒さんもいるかもしれません。でも「具体的に何をしていいかわからない」と立ち止まってしまう子も、少なくないのではないでしょうか。そんな高校生に伝えたいのは「まずは、既に何かやっている先輩のところへ足を運んでほしい」ということです。い」と思うようなことには、必ず、先に取り組んでいる誰かがいます。ゼロから自分だけで取り組み方を考えるよりも、先人がトライしてくれた失敗から学ぶのが一番の近道です。私も、リウマチの女性とのやりとりのあと「地域でこういうことをやる手段はないのか」と調べてコミュニティナースの活動を知り、実際に活動されている方の講義を受けに行きました。人から言われたアドバイスを、斜に構えずに取り入れる素直さがあれば、何をすればいいかの指針が得られます。そのうえで、どんどん失敗する。うまくいかなければ「このやり方はダメだ」というデータが取れるから。「やりたいのに動かないこと」が、一番の失敗ではないでしょうか。「お守り」のような人や場所を増やし、住み慣れた地域で、誰もがその人らしく生きられる未来をつくっていきたいです。もしかしたら高校生でも「地域のため自分が「ちょっと気になる」「何とかした私もどんどん動きながら、まちの中に2026 JUL. Vol.459□ 知人の助言がきっかけで提供するようになった、おむすび。「お米は、赤ちゃんからお年寄りまで食べる国民食。誰も排除されない、ハードルの低い場所にしたいという思いともつながった」と小鹿さん。□ 「おむすびスタンド むすんで、にぎって。」の店の前にある看板は、あるものを活かし、文字や絵は小鹿さん自身が描いている。温かみのある店構え。取材中にお客さんが訪れる場面もあった。12      病院の中では見えなかった「社会的健康」の重要性に気づき、日常的に立ち寄れる「おむすびスタンド」というアプローチで、地域の孤立解決を図る。居場所になるだけでなく、おむすびの味で選ばれるようメニュー開発や集客も試行錯誤。いきなり大掛かりな起業をするのではなく、育休中に実家で食堂を開業したり、訪問看護をしながら自分の店舗をオープンしたりと、小さく始めて、試しながら動いた。失敗を「データ収集」と前向きに捉えて、柔軟に改善を重ねていった。51

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