00■授業料と学費をセットで考える20406080100(%)次に、既に多くの大学で積極的に導入されており、特に国立大学では全ての大学で実施されている授業料減免について見てみよう。授業料減免は、給付奨学金の一種とみなすことができる。給付型奨学金は、返済の必要がない渡しきりの奨学金であるが、この給付奨学金を授業料とセットとする政策がアメリカやイギリスで急速に普及している。授業料を値上げする代わりに、授業料減免や大学独自給付奨学金を増やしていけば、大学は、収入をあげることと、大学の望む学生を獲得することができる。つまり、授業料の値上げは大学収入を増加させ、独自給付奨学金は大学の望む学生だけにターゲットを設定するため、費用は少なくて済む。こうして、収入増と学生獲得という2つの目的を同時に達成させることができる。これが近年各国で急速に普及している高授業料・高奨学金政策であり、学生が実際に払う授業料(純授業料)を授業料減免や給付奨学金で割引(ディスカウント)する政策である。現在、アメリカでは平均の割引率は約4割にも達している。もちろん、個々の大学によって割引率は大きく異なり、50%を超えている大学からほとんど割引をしない大学まである。さらに、個々の学生から見れば、大学の定価授業料(公式の授業料)を図表12 授業料減免の基準(現在)図表13 授業料減免(今後) 払う学生から、全く払わない学生、授業料より給付奨学金が多い学生まで様々である。こうした授業料と奨学金のセットの政策はわが国ではどの程度普及しているのか。こうした観点から、まず授業料減免の現状と今後の見通しについて調査結果を見ていく。12リクルート カレッジマネジメント177 / Nov. - Dec. 2012■■学力重視■■増す方針全体国立公立私立全体国立8.3公立私立19.3(%)14.21.736.71.75.724.526.216.7204.1(%)22.230.03.911.83.622.4■■やや学力重視■■同程度に重視■■やや増す方針29.641.743.429.8406068.367.282.467.2■■やや経済状況重視■■従来通り■■やや減らす方針22.514.418.326.416.111.380100(%)4.60.92.05.71.2■■経済状況重視■■減らす方針授業料減免・国公立は「経済状況」、私立は「学力」重視・約4校に1校が授業料減免を「増やす方針」
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