カレッジマネジメント177号
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00■独自奨学金の現状■独自奨学金の有無日本の学部生に対する最大の奨学金は、日本学生支援機構奨学金で、奨学生数は第1種(無利子)が2012年度で約38万人、第2種(有利子)が約96万人となっている。特に第2種奨学金は、1998年には奨学生数は約11万人に過ぎなかったものが、2012年までに約9倍と著しく伸びた。現在では学部生の3割以上が奨学金を受給している。さらに、同機構が実施している「学生生活調査」の2010年度調査では、大学学部昼間部で、同機構奨学金だけでなく、その他の奨学金を含む奨学金の受給率が50.7%と半数を超えている。しかし、日本学生支援機構の奨学金は全て貸与であり、学部段階では、返還免除制度もない。このため、給付と貸与の双方がある、大学または学部独自奨学金(以下、独自奨学金)が、最近非常に注目されてきている。その理由は、学生への経済的支援の手段として効果的であるだけでなく、学生募集にも効果があると考えられるようになってきたためである。しかし、独自奨学金がどの程度普及しているのか、また、将来の見込みについて、全国の大学を対象とした調査や統計で公表されているものは見あたらない。そこで、以下では、この独自奨学金の現状について調査結果を見ていく。独自奨学金制度について、全体では、79.7%と約8割の大学が既に制度を有している(図表15)。ただし、「今後設置の予定」は2.3%に過ぎず、「ない」と答えた大学も約2割(18.1%)となっている。多くの大学で独自奨学金制度が普及していることが分かるが、今後大幅に導入する大学が増加するとは考えにくい。設置者別には、私立大学の9割近く(87.4%)が独自奨学金制度を有している。国立大学でも約4分の3(74.1%)と高い。これに対して、公立大学では3分の1強(35.3%)と低く、制度が「ない」が62.7%を占めている。今後の授業料減免でも公立大14リクルート カレッジマネジメント177 / Nov. - Dec. 2012図表15 大学独自奨学金図表16 大学独自奨学金の受給基準 全体国立35.3公立私立全体25.2(%)国立30.266.7公立私立22.7大学または学部による独自の給付型奨学金制度20大学または学部による独自の 給付型奨学金制度受給の基準 2040604060■■ある ■■今後設置の予定■■ない79.7(%)74.12.062.787.4■■学力重視 ■■同程度に重視 ■■やや経済状況重視 ■■やや学力重視 ■■経済状況重視 21.329.514.027.923.331.480100(%)80100(%)2.318.125.92.510.112.811.116.311.622.25.65.613.39.4大学または学部独自奨学金・約8割が制度有り。4校に1校が「増やす方針」・目的は「成績上位者支援」がトップ

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