カレッジマネジメント177号
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■授業料について■授業料減免について現在の自校の授業料設定は「適正」であると考える大学が多く、自校の授業料が高すぎると考えているのは、国立大学と私立大学に多く、公立大学では非常に少ない。特にベンチマークする大学(授業料設定の際に参考とする大学)と比較して,「適正」や「高すぎない」と考えていると見られる。そのベンチマークする大学は、国公立大学の場合はほとんどが「国公立大学」で、私立大学の場合は「専門分野の近い私立大学」や「近隣の私立大学」が多い。このように、地域によっても基準には差が見られるものの、基本的にはベンチマークする大学と比較するため、自校の授業料水準は「適正」ないし「高すぎない」と考えている。このため、5年前と比較して、現在は学費に対する関心が高まっていると考えている大学が多いものの、今後の授業料は「据え置き」の方針をとる大学が多い。他方、学費値上げは志願者減につながり、反対に学費値下げは学生募集にプラスに働くと考える大学が多い。特に現在の授業料水準が高すぎると考える大学では、学費値上げは志願者減につながると見ている。このため、多くの大学では授業料は「据え置き」方針であり、今後授業料について大きな変化が起きるとは考えにくい。国公立大学では、教育の機会均等の観点から授業料は高すぎるという意見が多く見られた。例えば、「本来、高等教育も欧州型で無償化し、能力ある学生が等しく教育を受ける権利を保証するのが望ましい姿と考えている」というのは代表的な意見である。これに対して、私立大学では、国公立大学と私立大学は大学として同等であるという「イコール・フッティング」論から、国立大学の授業料水準は低すぎると考えている意見が多い。「教育の機会均等を考えるとき、私学と独立行政法人の授業料の差に軽い憤りを覚える。」という見解は極端ではあるが、「設置主体が異なるという制度上の問題は承知しているが、税金を継続的に注入されている国公立大学に対して、私立大学は余りにも不利な競争を強いられていると感じている」というような意見は多く聞かれた。このように、「教育の機会均等」に対し国公立大学と私立大学で考え方が全く異なることを示している。国公立大学と私立大学の認識の差は極めて大きい。その格差の是正として「学納金の公私格差の是正のためには私学助成を国策として推進すべきである」というように、国の政策とりわけ私学助成の強化に関する意見が多く見られた。授業料減免の基準は、経済状況重視、学力重視、同程度に重視とほぼ3分しているが、国公立大学では経済状況重視、私立大学は学力重視と明確に異なっている。この授業料減免の今後の基準には大きな変更はない。しかし、授業料減免について、国公私立大学共に増やす方針か現状通りとなっている。多くの大学では「授業料の減免については申請が増加傾向にあり、減額の限度額が予算上あるため、減額の調整が必要となることが課題である」というように、その財源に限りがあることが制約条件となっている大学の例も見られた。授業料を今後値上げする大学と授業料減免を増やす方針とは有意な関連はなく、授業料値上げと授業料減免をセットにする戦略を立てている大学はあまり見られない。授業料は「据え置き」で授業料減免だけ増やす方針であれば、収入が増えず、費用だけかさむことになるという問題が生じる恐れがある。これは、アメリカやイギリスなどで最近急速に普及している高授業料・高奨学金政策とは異なる点である。■大学独自奨学金と 貸与奨学金について大学独自奨学金は8割の大学が既にリクルート カレッジマネジメント177 / Nov. - Dec. 20121経営戦略としての学 費調査から見えた日本の大学が抱える課題・多くの大学が「授業料据え置き・独自奨学金で対応」で財政を圧迫・欧米の高授業料・高奨学金とギャップ第2章日本が抱える課題と個別大学への示唆──諸外国の動向も踏まえながら

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