カレッジマネジメント177号
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奨学金 ミッションに合うターゲット 学力優秀者 地方出身者 地元出身者 教育付加価値 独自プログラム 効果 測定 ターゲティング 募集増 経営改善 偏差値UP 授業の活性化 学生の意欲UP 就職率UP etc. 公的奨学金 「ニードベース」 大学独自奨学金 「メリットベース」 etc. etc. 授業料免除 10万円×8人 etc. 授業料 40万円×2人 etc. 大学案内 パンフレット ガイダンス 個別説明会・相談会 ・金額 ・募集人数 ・受給の可否 IRによる大学情報の把握 三者面談 情報公開 入学前に わかりやすく 高校生 保護者 大学1説明 進路指導担当 金融知識のある専門スタッフ養成 全額 半額 2つのパターンのみ全額 半額 自由に 設計 1/4 etc. 募 集 戦 略 給付方法 奨学金 多額少募 分納 延納 小額多募 リクルート カレッジマネジメント177 / Nov. - Dec. 2012■国の課題■望む学生を獲得する重要な役割学費・奨学金の経営戦略化 のためには、教員とりわけ進路指導の教員には、ある程度の金融知識を持つことが求められる。日本の大学に対する公的負担が少ないことについては、今更言及するまでもないが、多くの学長から、「私学に対する国の補助金額がOECD加盟国の中で最も低いのはやはり問題だと思う」などの指摘があった。私学助成については先にもふれたが、「国庫補助を増やし、学費を減額したり、給付型の奨学金制度を作ってお金のことに汲々としないで 勉学に打ち込める環境を作ってあげられるようになれば良い」という意見が代表的なものであろう。また、アメリカの大学独自奨学金が基金に支えられるのに比べ、日本の大学には基金を十分に有しているところは少ない。寄付文化が異なるという意見も根強いが、日本では大学への寄付の税額控除が5割しか認められていないという税制の問題もある。この点に関しても「奨学金制度の充実のためには、相当の奨学資金が必要となる。教育政策の観点から、大学や家計の負担が増えないような補助政策が必要であると思われる」と補助を求める意見も見られた。また、卒業後の所得連動型貸与奨学金の返済制度は、オーストラリア、授業料の高騰は、アメリカ、イギリス、中国、韓国など多くの国で共通に見効   果 イギリス、スウェーデン、アメリカの一部の学費ローンで導入されている。所得に応じて一定の割合を返済していくため、特に低所得層では負担感が少ないため、優れた返済方式と評価されている。しかし、このためには、卒業後の学生本人の所得の捕捉が不可欠であり、納税者番号制度が必要とされる。現在の政府はマイナンバー制度の導入を提案したが、国会では審議されず導入の見通しは立っていない。られる現象である。その原因としては、いくつかあるが、最も重要な要因は、以下のように考えられる。即ち、大学は学生を獲得するために教育の質を向経営戦略としての学 費学費を経営戦略にどう位置づけるか・「メリットベース」でターゲティング・給付方法の多様化や顧客視点情報提供が課題

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