カレッジマネジメント177号
38/66

【専門性】 専門分野を深く学べる自分の興味や可能性が-1.25 軸1 -1.0 分析には、統計分析の中の一手法である「コレスポンデンス分析」を用いる。これにより、“大学間のイメージの相関関係を示す”ポジショニングマップを作成してみたい。コレスポンデンス分析とは、イメージ項目の調査結果で得られた各大学のイメージスコア(例えば、東京大学「伝統や実績がある」75.1%など)をもとに集計を行う。具体的には、行に学校名、列にイメージ項目を置き、それぞれの大学のイメージスコアが記入されたマトリクス・データをもとにして、「各イメージの近さ」を計算する。いくつかの大学で、「学生の学力が高い」「学費が高くない」というイメージ項目のスコアが相対的に高いため、この2つのイメージは近いと判断される。同時に、「専門分野を深く学べる」「自分の興味や可能性が広げられる」といったイメージ項目は相対的に低いため、同様にイメージが近い同士であると判断される。こうしてそれぞれの近さ・遠さのスコアを算出した結果が軸1として表される。一方、別のいくつかの大学について、「クラブ・サークル活動が盛んである」のスコアが相対的に高く、同時に「卒業後に社会で活躍できる」「就職に有利である」のスコアが相対的に低いと判断されたとする。そこで、軸1と同様に、今度はこれらの項目の近さ・遠さのスコアを算出した結果が軸2である。こうした計算により、軸3、軸4…と無数に存在する軸の中から、全体を通してイメージ項目と学校それぞれの近さ・遠さを最も分けられる(寄与度の高い)軸を軸1、次に説明力の高い(寄与度の高い)軸を軸2と考える。そして軸1を横軸、軸2を縦軸にとり、平面図に示す(下図)。そうすると、各イメージ項目の近さを算出したスコアから、そのまま各イメージがプロットされる。すでに算出してある各大学のイメージ・スコアに、各イメージ項目の重みをつけて各大学の軸1、軸2における得点を算出し、プロットしたものがポジショニングマップである。なお、軸1と軸2の寄与率を足した累積寄与率が1に近づくほど、このポジショニングマップが全体イメージを表せていると考える。仮に、軸1、軸2ともにスコアが高いイメージ項目があれば、軸1を優先して考える。また、軸1、軸2のゼロを起点に、ABCDの4つのエリアで、イメージのグルーピングをする見方もできる。Aなら「国公立大学で就職に有利」と思われているグループ、Dなら「専門性が身につき、職に直結している」と40リクルート カレッジマネジメント177 / Nov. - Dec. 2012学費が高くない学生の学力が高い教育内容のレベルが高い周囲の人からの評判が良い有名である伝統や実績がある先輩・卒業生が魅力的である勉強するのに良い環境である将来の選択肢が増える就職に有利である交通の便が良い卒業後に社会で活躍できる教育方針・カリキュラムが魅力的である規模が大きい学校が発展していく可能性がある遊びにいくのに便利な立地である教授・講師陣が魅力的である教養が身につく入試方法が自分に合っている学習設備や環境が整っている寮や奨学金などが充実している校風や雰囲気が良い自宅から通える偏差値が自分に合っている国際的なセンスが身につく社会で役立つ力が身につく活気がある感じがするクラブ・サークル活動が盛んである学生生活が楽しめるキャンパスがきれいである資格取得に有利である学生の面倒見が良い自分の興味や可能性が広げられる専門分野を深く学べる軸11.313 1.072 0.983 0.743 0.557 0.477 0.340 0.332 0.188 0.096 0.061 0.031 0.013 -0.003 -0.069 -0.096 -0.100 -0.164 -0.209 -0.218 -0.237 -0.254 -0.371 -0.372 -0.399 -0.402 -0.428 -0.442 -0.471 -0.496 -0.521 -0.590 -0.709 -0.891 ポジショニングマップが示すもの

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る