カレッジマネジメント187号
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10リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014化だ。期間中、全学生にトレーニングノート(日報)と自己評価前後アンケートに記入してもらい、そのワードの連想分析結果を示したのが図表6だ。これを見ると、事前では「働くこと」「学ぶこと」「生きること」がばらばらに形成されているが、事後は生きていくうえで、3つの全てがリンクしていることを学生が認識するといった効果が出ていた。さらにワードに注目すると、事前では「働くこと」のカテゴリーに「忙しい」「スーツ」「大変」などのマイナスのワードが並んでいるが、事後では「繋がり」「貢献」などのワードが生まれている。同じく「生きること」のカテゴリーに「仲間」「社会」「出会い」、「学ぶこと」のカテゴリーに「気づき」「コミュニケーション」「体験」など、社会とのつながりをプラスに受け止めるワードが増えていた。インターンシップの教育効果は、コンピテンシーが上がるのは当然として、それ以上にその先の仕事をしていくことが、楽しく、自分の人生にとって重要であり、大変なこともあると理解することができる点だ。そして、大学での学びがその後の人生に必要であると分かれば、高等教育に向き合う前提となる力を育むことに結びつく。よく大学の教員から「いつやるのが一番いいか」と聞かれるが、何回やっても良く、早いほど良いというのが答えになる。大学の学びへの能動性が高まるのが早いほど、4年間で得るものがまるで違ってくるからである。何人もの学生から、「あのインターンで私の人生にスイッチが入った」と言われたことがある。スイッチが入らないまま、就活で急にエンジンをかけても、中身がないのでうまくいかないだろう。大学におけるインターンシップへの機運6教育効果の高いインターンシップを実際に行い始めた大学もある。今年、立教大学経営学部に、3、4年生を対象として半年間フルタイムで実習を行う「長期国内インターンシップ」科目が新設された。今年は8人が履修中で、夏休み以降の半年間は大学には来ないで、インターン派遣先で働くことになるが、事前・事後研修を含め、10単位が与えられる。理論と実践を繰り返し学ぶことができるので、5年間で経営学修士の学位を取得できる「5年一貫プログラム」の目玉でもある。なお、都心の大学に共通する点だが、立教大学も都市部出身者(自宅通学者)が多いので、東京以外の地域で1人暮らしをする経験を積ませたいという狙いもある。ガイダンスに参加した学生の中には大学を離れることへの不安感や、そもそも行く必然性があるのかとの疑問から、既存科目の実習期間2週間のインターンシップで十分だと思う一般的な学生がいる一方、例えば社会起業家を目指したり、自主休学したりと、昔はあまりいなかったアグレッシブな学生もいる。後者にとっては新た図表6 刺激語「インターンシップ」に対する連想語調査分析結果イメージ※分析対象者[SBI初級第1期(2010年4月~9月)第2期(2010年10月~2011年3月)実施者382名中の202名]忙しいスーツ 大変働く 企業【働くこと】成長  勉強経験  社会【学ぶこと】責任将来  大人【生きること】貢献  繋がり社会人  仕事企業   学生経験成長 気づきコミュニケーション体験仲間社会  出会い【働くこと】【学ぶこと】【生きること】事 前事 後

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