カレッジマネジメント187号
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19をすればいいのかを事前に考える、そんなプログラムの案件が多くなっています。自分が大事にしている軸は何かを、事前に考え、それを企業と擦り合せながらできる限り事前準備をやっておくことが選考期間の短期化では重要になってくるでしょう。──自分の軸を明確にするための業界研究みたいな形になっていくんですね。岡崎 大学による細やかなマッチング支援を進めるのも、大学の生き残りの1つの道だと思います。企業の求人を開拓し、そこで求められる人材像を理解し、それに合う学生を紹介する。入社後の活躍状況なども把握すれば、“学ぶ”と“働く”をワンストップで接続させられる唯一の存在にもなり得るのではないでしょうか。大黒 「この会社はこういう人が欲しいからこの学生が合っている」ということをきちんと理解できていて推薦を出せる機能がそもそも充実してこないと、企業から求人が来ても決められないし、決まらないと何が起きるかというと次の年から推薦が来なくなるわけです。そろそろ企業も求める人材要件をきちんと設計し、それを大学もきちんと理解し、学生のマッチングを考えるフェーズに来ていると思います。岡崎 成績が良く従順なタイプの学生が合う企業や、主張が強く協調性より主体性が際立つ学生が合う企業など、やはり相性が重要な世界です。こうした実績情報をストックして活用することが大学にはできるのです。大黒 自校の学生がなぜ採用されなかったかについて企業からフィードバックをうけ、データストック・マッチングを行い、採用実績を作っている大学もあります。こうした企業側とのコミュニケーションをどれだけ取れるかですね。誤解を解消するためのインターンシップ5──最後に、選考期間が短くなることで、インターンシップをどのように位置づけていけば良いでしょうか。岡崎 これまで頑として「うちはインターンはやらない」としていた会社が「いよいよやらなくちゃダメかな」と方針転換するなど、一層裾野が拡大する兆しが見えています。ただ、今年は夏に行えますが、来年からは採用選考活動と時期が重なってしまいます。「面接とインターンシップの両方に現場の社員を駆り出すのは極めて難しい」という声も多方面からうかがいます。しかし冬は年末年始と重なり、春は広報解禁直前と、ベストな時期が見当たらないことが、インターン拡大の兆しに立ちはだかる1つの壁となっている印象です。大黒 中小企業はなおさらできないでしょうね。だから単位化しようという話になる。授業時間であれば参加できるし、長期参加も可能ですから。岡崎 就職みらい研究所の『就職白書2014』によると、インターンシップに参加した企業に入社する予定の学生は、2014年卒で16.2%。その会社でないが同じ業種に就職する人を含めると4割強にものぼります。就職直結ではないものの、結果としては就職に一定の効果が見られる。個社でインターンシップを行うのが難しいという課題を、業界をあげて解決しようという動きも出ています。例えば建設業で圧倒的に求人数が多い職種は現場監督ですが、少なからぬ建築・土木系学生は、就職活動当初はそれを視野に入れていません。そこで業界が合同でセミナーを開き、共通の課題である「現場監督の仕事の面白さを訴える」ことに取り組んでいます。大学側も、授業や研究で学んだことを活かしてほしいという思いがあるでしょうから、業界とタッグを組んでWin-Winを模索できるのではないでしょうか。(文/本誌 能地泰代)リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014特集 インターンシップの教育効果

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