カレッジマネジメント187号
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26を配置し、留学期間には毎週ウィークリー・レポートを作成させて亜細亜大学に送らせる、インターンシップ期間中もインターンシップ先の担当者と毎日のように連絡をとって学生の様子を把握するなど、きめ細かな学習支援体制をとり、円滑な留学経験となるよう配慮している。留学生活は楽しいことばかりではない。学生は、ほぼ初めての異文化体験であり、ルームシェアする中国人学生との人間関係の構築や、それに加えてビジネスの世界にも放り込まれることによるストレスから、くじけそうになることもあるという。そうした学生のメンタル面でのケアをするためにも、専属スタッフの役割は大きい。タフになる学生「夢カレ」プログラムの募集は、大学に入学したばかりの4月初旬である。定員はプログラム開始から40名で変わりはなく、応募者は年度によって変動はあるが、多い年で30名弱、少ない年では10名を下回る時もあったが、ここ数年は15名前後である(図表2)。当初は国際関係学部からの参加者が多かったが、近年はどの学部にも比較的均等に分布している。2010年度まで経済学部からの参加者がいないのは、それまで経済学部としてプログラムに参加していなかったためである。もっと志願者が増えてくれればよい、と学長は願っているものの、入学直後に「夢カレ」プログラムを履修するか否かの進路決定をしなくてはならないこと、留学費用が別途53万円かかることなど、学生にとっても保護者にとってもハードルは高い。その意味では、プログラム参加者は文字通り少数精鋭だといってよいだろう。この留学とインターンシップの成果はどこにあるのかという問いかけに、学長は、「それはなんといってもタフになって帰ってくることです」と明快だ。出発前に、中国語検定の3級をクリアしているとはいえ、それでスムースに中国語での生活が始められるほどではない。中国人学生とのルームシェア、インターンシップ、すべて自力でサバイバルせねばならない。学長曰く、「異文化のなかでは、はっきりと自分の考えを言い、相手の意見もきちんと理解するというやり取りが重要です。とくに中国の場合、他者との信頼関係を築かなければ前に進みません。大学でもビジネスの世界でもそうであることを体験してきます。5カ月間で随分と鍛えられてきますよ」ということだ。単に、大学での語学留学に終わらず、インターシップがあることの意味は大きいだろう。インターンシップ先での仕事は様々である。学生のインターンシップの体験記によれば、営業担当者に同行して中国ではどのように商談が成立するのかを知ったり、工場の生産現場で製品の出荷を手伝ったり、旅行社で日本向けツアーのチケット手配のデータ入力をしたりなど、まさに中国での仕事のやり方や人間関係を学ぶ絶好のポジションにいることが分かる。リクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 20140 5 10 15 20 25 30 2005 28 12 6 18 12 9 19 10 15 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 (人) (年) 経営 経済 法 国際関係 合計 図表2 アジア夢カレッジ AUCP参加学生数推移

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