カレッジマネジメント187号
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38本稿では、2015年卒の大卒求人倍率調査(2014年4月24日)の結果についてご紹介したい。大卒求人倍率は大幅に上昇2015年卒の大卒求人倍率調査(大学生・大学院生対象)の結果によると、大卒求人倍率は1.61倍と、前年の1.28倍より+0.33ポイントと大幅に上昇した。求人倍率は求人企業と民間企業に就職希望する学生数とのバランスで決まるので、両者の動向について見ておきたい。求人数は、前年の54.4万人から68.3万人へと13.9万人増加した。対前年増減率で見ると+25.6%であり、2009年卒以来6年ぶりに求人数は増加した結果になる(詳しくは図表1)。一方、学生の民間企業就職希望者数は、前年42.6万人とほぼ同じ水準の42.3万人であった(対前年増減率は-0.6%)。求人倍率の大幅上昇に対しては、求人数の増加が大きく貢献している。中小企業の求人数は大幅に増加求人数が増加している様子についてもう少し見ていきたい。図表2のように従業員規模別に、求人数の対前年増減率を見ると、300人未満企業では+44.5%(前年は-1.4%)である一方、5000人以上企業では+5.0%(前年は-5.4%)にとどまる。中小企業においても業績の回復基調が見られることと、これまで採用を抑制していたことの反動により採用意欲が高まっている。また、一部の中小企業においては、人員の高齢化や今後の退職動向を見据えてこれまで採用していなかったが、今年から採用を開始する企業も見られる。本調査においても、300人未満企業において、新卒採用の実施企業割合は前年の10.1%から14.3%まで上昇した結果がある。前年は新卒採用を実施しなかったが、今年に入り実施予定のある企業が増えていることがうかがえる。一方で、大手企業においては求人数の増加が微増にとどまる。大手企業の中には採用予定数を増やすと表明している企業も中にはあるが、多くの企業は昨年の調査報告でも説明したように、採用数を変動させるこリクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 2014調査目的:2015年3月卒業予定の大学生及び大学院生に対する、全国の民間企業の採用予定数の調査、及び学生の民間企業への就職意向の調査から、大卒者の求人倍率を算出し、新卒採用における求人動向の需給バランスを明らかにする。【企業】調査対象:従業員規模5人以上の全国の民間企業7063社調査項目:2015年3月卒業予定者の採用予定数調査期間:2014年2月12日~3月6日回収社数:4607社(回収率65.2%)【学生】調査対象:2015年3月卒業予定者を対象とした「就職に関するアンケート」の結果をもとに、従業員規模別、業種別の就職希望者数を推計した。集計サンプル数:大学生7391人 大学院生1972人調査期間:2014年1月31日~2月10日●調査概要●戸田淳仁 リクルートワークス研究所 研究員リクルートホールディングス「ワークス大卒求人倍率調査 (2015年卒)」大卒求人倍率で見る2015年卒の就職動向

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