カレッジマネジメント187号
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か職員として権限もあり、雇用も安定している。名称はコーオプ担当教員など様々で、1大学当たり数十人程度が、数百人から、システム等を活用して数千人の学生のコーディネートを行っている大学もある。日本の大学の就職課とは規模も権限も予算の使い方も全く違っている。インターンシップを受け入れる企業側のメリットには、労働力も含めた即戦力と学生ならではの視点や発想の活用が挙げられる。企業規模にかかわらず、新卒、中途、インターンシップの採用枠を設ける企業もある。採用プロセスをインターンシップのみとする企業や、インターンシップをしないと採用を判断できない企業も多い。また、企業からの評価制度も進んでいる。企業は学生一人ひとりの評価結果をシートに記入し、大学にフィードバックする。大学はこの評価をもとに、コーオプ教育の改善、さらには大学・学部カリキュラム全体や教授法の改善に役立てる。さらに質保証として、第三者評価団体によるインターンシップ(コーオプ教育)の認証評価制度もある。また別の民間団体ではランキング・表彰も行っており、ランキングに入ることが受験生に向けたアピールにもなっている。コーオプ教育やインターンシップが充実しているかは、大学を選ぶ一つの理由になっており、就職ランキングにも直結しているのである。マーケットとしては、超トップ大学を除く中堅~上位大学が力を入れて充実を図っている。アメリカではノースイースタン大学やシンシナティ大学、ドレクセル大学などがコーオプ教育で著名である。短期主流で参加者も少ない日本の現状2これに対し、日本の状況を見ると、インターンシップの実施校数の割合は、1996年度には17.7%しかなかったものが、2011年度には約7割(70.5%)の大学が導入するまでになった(図表2)。しかし、参加学生数は全学生に対し2.2%と極めて低いことが分かる。さらに、学部生が実際に参加したインターンシップの実施期間を見てみると、最も多いのが「1週間~2週間未満」(40.1%)、次いで「1週間未満」(21.5%)と欧米諸国に比べて短期間であり、3カ月以上を合計しても5.7%しかない(図表3)。しかし、実は多くの大学と企業が、インターンシップが高い実習効果を上げるためには、1カ月以上の期間が必要だと考えていることも分かっている(図表4)。これによるリクルート カレッジマネジメント187 / Jul. - Aug. 20140 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 0 100 200 300 400 500 600 参加学生数 実施校数 (校) (人) 参加学生数 実施校数 年度1996199719981999200020012002200320042005200620072011実施校数104107143186218281317384418447482504544(17.7%)(18.3%)(23.7%)(29.9%)(33.5%)(41.9%)(46.3%)(55.0%)(59.0%)(62.5%)(65.8%)(67.7%)(70.5%)参加学生数--14,99119,65021,06325,06330,22234,12539,01042,45450,43049,72662,561(0.6%)(0.7%)(0.8%)(0.9%)(1.1%)(1.2%)(1.4%)(1.5%)(1.8%)(1.8%)(2.2%)注1:参加学生数は学部学生数と大学院学生数の合計注2:実施校数の欄の上段は校数、下段は調査対象校数に対する割合注3:参加学生数の欄の上段は人数、下段は当該年度の学校基本調査における学生数に対する割合学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議資料より図表2 大学等におけるインターンシップ実施状況の推移(大学等における2011年度のインターンシップ実施状況 文部科学省)特集 インターンシップの教育効果

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