カレッジマネジメント188号
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13リクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 2014文理男女別の志願度を2010年から2014年の5年推移で追ったのが図表4である。文系全体は2010年以来、明治大学が1位・早稲田大学が2位という構図に変化がない。文系学生のほぼ6~7名に1名は明治大学を志望する状態だ。ポイントを見ても、この2大学が他より群を抜いているが、2012年以降、明治大学と早稲田大学のポイントは僅差になっている点も注目だ。前述した國學院大學が2014年に初めてランクインした。他エリアと比較すると国公立大の順位が低く、2010年は13位が最高だったのが、2014年は18位にまで下がっている。文系男子では早稲田大学が明治大学の5連覇を阻み、文系女子では立教大学が3年連続1位となった。理系は理系全体と理系男子で明治大学が3連覇。理系女子は5年間1位が毎回変化するなか、年々順位を上げてきた明治大学が1位となった。これにより理系全体・男子・女子全てで明治大学が1位となった。理系男子では芝浦工業大学がじわじわ順位を上げ、6位となった。理系女子の特徴としては、上位には医療系学部を持つ大学が多く入ることが挙げられる。一方で2011年を除き毎年ランクインした女子大学が、今年は全てランク外となった。面倒見の良さや就職面の強さなどによる女子大人気が、景気回復にともないやや変化しつつあるようだ。知名度を縦軸に、志願度を横軸にとり、大学の分布を表したものを2008年と2014年で比較したのが図表5である。関東エリアの平均知名度は2008年の27.3%だが、2014年は24.7%と2.6ポイント減少。平均志願度は2008年も2014年も0.7%である。2008年は知名度60%以上かつ志願度5%以上の「ブランド大学」に私立大10校が存在したが、2014年は8校に減少している。知名度70%以上が20校存在するなど、知名度の高い水準に比較的多くの大学が分布するのが関東エリアの特徴だが、志願度では2014年で明治大学・早稲田大学の2強状態。文系・理系ともに学部を持ち、いずれも人気がある大学でないと、大学全体の志願度が上昇しにくいようだ。一方で知名度も志願度も平均を下回るゾーンに多くの大学が存在しているが、これらの大学は高校生にとっては他校との違いを識別しにくく、個性化・差別化と伝え方において課題があるといえる。全体としては一部のいわゆるブランド大学が全体の水準を引き上げている状態だ。イメージ項目最後に、高校生が個別の大学にどんなイメージを抱いているかを示した。機能的価値32項目(図表6)、感性的価値15項目(図表7)の計47項目である。全体47項目中約8割にあたる38項目で東京大学・早稲田大学・明治大学のいずれかが1位となった(東京大学26項目・早稲田大学6項目・明治大学6項目)。また、全47項目中29項目で男女の1位が一致した(機能20項目、感性9項目)。関東エリアは大学数が多いこともあり、一部の大手総合大学にイメージが集中しており、その反面その他の個別大学に対する認識が差別化できていない様子がうかがえる。個別の項目を見ていこう。大学本来の差別化ポイントであるはずの「教育方針・カリキュラムが魅力的である」は、全体1位の東京大学でも16.0%と、20%にも満たない。大学側は伝えているつもりでも、高校生から見ると大学教育はまだまだわかりにくいものとして映っているようだ。昨今学校選びの項目として注目される「就職に有利」「社会で役立つ力が身につく」「卒業後に社会で活躍できる」ではいずれも1位東京大学・2位早稲田大学・3位慶應義塾大学。歴史と実績がある有名総合大学が強いイメージを保持しているようだ。一方でいずれも東京理科大学が順位を上げている。同様に注目される「資格取得に有利」でも1位は東京大学だが、中央大学・東京家政大学・日本歯科大学などの大学の躍進が見られる。「国際的なセンスが身につく」では上智大学が4位から1位となった。難関大学や外国語大学が並んでおり、高校生にとってグローバルはまだ語学力の意味合いが強い様子が垣間見える。関東/知名度×志願度プロット分析東海関西特集 進学ブランド力調査2014志願度ランキング5年推移知名度×志願度プロット分析

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