カレッジマネジメント188号
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46大学が中長期の将来計画を策定することは、今や特に珍しいことではない。上智大学も、2013年度の創立100周年を視野に入れて、2001年に「グランド・レイアウト」を策定した。2014年の現在は、2023年度までの「グランド・レイアウト2.0」を新たに策定し、そのもとで「世界に並び立つ大学」を目指した各種の取り組みが行われている。しかし、敢えてこれを冒頭に紹介するのは、「グランド・レイアウト」の策定に至った経緯が、まさに上智の上智たる所以を再確認し、それを大学のブランドとして発信する契機になったからだ。それは1999年のことである。イエズス会の創立者のひとり、聖フランシスコ・ザビエルの来日450年を記念した国際シンポジウムで、上智大学の原点にあるザビエルの見直しが行われた。そこで、ザビエルが離日に際し、2人の青年と2人の僧侶を連れて旅立ち、彼らに日本以外の世界を見せるとともに、ヨーロッパに日本を紹介しようとしたという記録にあらためて接したことで、関係者はそこにヨーロッパと日本との交流の原点を見いだし、それを上智大学のブランドにしようと考えたという。「彼の地に赴いて彼の地の人と交わり、そして互いに学びあうことが、上智大学の核にあるのです。それをいかに、他者に分かりやすく、言葉やイメージで伝えるかを考えました。その延長にグランド・レイアウトがあり、その後の大学の取り組みは、この線に沿ってなされています。それまではどちらかといえば、良いものは良いのだから敢えて宣伝はしないというスタンスでしたが、不変のミッションに時代のニーズを掛け合わせて新しいものを作り出すことが必要だと考えるようになりました」と、髙祖敏明理事長は話す。2013年度の100周年を記念していくつかの新聞に掲載した1ページ全面の広告は、「世界をつなぐひとになれ。」というコピーを付した、ザビエルを模した絵画であった。上智大学の創設以来の理念がブランドとして発信された象徴である(図表1)。 国際からグローバルへもともと、上智大学のイメージは国際的である。外国語教育で定評のある外国語学部に加えて、アメリカのリベラルアーツ・カレッジに近く、全ての授業が英語で行われる国際教養学部がある。そして、2014年には、総合グロー叡智(SOPHIA)が世界をつなぐリクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 2014髙祖敏明 理事長上智大学CASE1 「グランド・レイアウト」の策定

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