カレッジマネジメント188号
52/84

52いう。そんな若手職員らの強い思いは、次第に、前出の「RISING つながりを、チカラに。」という統一メッセージへと形をなしていった。今回こうして開学90周年事業を主導した若手職員達は、名城大学が2026年に開学100周年を迎えたとき、大学運営を中心的に担っていく層になる。中根学長は、今後の名城大学を背負っていく世代の人々が「作りたい大学を作る」ことを目指していってほしいと語る。実際に若手職員に具体的なプロジェクトに取り組んでもらうことで、将来の大学作りにつなげていってもらいたいという思いがある。そもそも名城大学では団塊世代が徐々に抜けて世代交代が進んでいる。職員の平均年齢が急速に若返っているという。それを好機と考え、若手職員の力を活用し、学生も巻き込んでイベントを実施する機会も出始めている。例えば、ここ3年ほど若手職員が学生と一緒になって入学式・卒業式を企画している。在学生が新入生を迎え、卒業生を送り出すといった形で学生が主役になる式を企画・実施していて、学生からの評価も高いそうだ。ほかにも、カーネーション酵母を用いた名城大学ブランドの日本酒「華名城(はなのしろ)」やそれを原料とした飲む酢の製造・販売など、農学部や経営学部の学生も巻き込んで取り組む事業が話題を集めた。日常の身近なところから大学を活性化していこうとする取り組みが内部で始まっていると言えそうだ。大学が変わると市場も反応何ごとも華々しさだけに目を奪われていてはことの本質を見失う。名城大学の「動き」も、新キャンパスや新学部の創設だけで語ることはできない。大学内部でも着実な変化の種が芽生え、花開き始めている。それが次第に市場のイメージを変えつつある。本山課長は「メッセージをきちんと伝えていくと市場はちゃんと反応する」と強調する。入学センターの業務を通して高校生に接する機会の多い本山課長が現場で感じる実感だ。その言葉を裏付けるように、ここ2年間で志願者数が7,000人ほど増えている。過去5年間の志願倍率をみると緩やかなV字を描いていて、倍率がやや低迷した2012年度を境に回復基調にある。今年度入試の志願倍率は10.6倍に伸びた(図表3)。志願者行動には多様な動機や要因が作用するため即断は禁物だが、志願倍率からは、少なくとも名城大学を見る市場の目が変化しつつあることは確かなようだ。大学としての広報のやり方も変わってきている。広報担当の渉外部と入試広報を行う入学センターが協力して広報に力を入れるようになった。「名城大学が動く」「名城大学が変わった」というメッセージを意識的にきちんと伝えていくことを目指してきたと本山課長はいう。大学側がどう伝えたいか明確になっていないと高校生には伝わらない。こう見られたいという意識をしっかり持って伝え方を変えるようになったそうだ。実際、オープンキャンパスで女子高生向けの企画をしたり、ダイレクトメールを送ったりしているという。そんな取り組みが「親しみやすい大学」としてのイメージの向上にもつながり、受験先として名城大学を選ぶという志願者の行動につながっているのかもしれない。リクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 20140 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000 志願者数 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 0 2 4 6 8 10 12 志願倍率 9.3 9.2 8.3 9.7 10.6 (人) (倍) 図表3 志願者数・志願倍率の推移

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です