カレッジマネジメント188号
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65リクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 2014高校生価値意識調査2014校生が、グローバル化は自分に関係があると認識している(図表11)。しかし、実際に将来、海外で働きたいと考える高校生は23%にとどまり(図表12)、働きたくないと考える高校生の半数以下。働きたい理由としては、日本以外の世界を知りたい、語学力を鍛えたいという声が。一方、働きたいと思わない理由のトップは語学力への不安。次いで僅差で日本が好きだからという理由が挙がっている(図表13・14)。語学への自信のなさが、海外へ飛び出すハードルとなっている。合わせ、不況が続いた今、目的を持って、将来に対し専門性を磨く場へと変化しているのである。自分の意志と安定のバランスを重視し、身近な人間関係の中で居心地良く生きる高校生。彼らに響くコミュニケーションとして、ビジョンを一方的に伝える「コンサルティング的」なコミュニケーションではなく、彼らの今と進学先、未来を対話によって丁寧に紬ぎ、その先のコミュニティまでイメージができるような「カウンセリング的」コミュニケーションが必要となってくるだろう。本調査では、将来や進学に関する質問から5つの因子を分析し、その反応をもとに高校生を8つのタイプに分類している(図表15)。2007年から、大学進学希望者のタイプ構成比の変化をみると(図表16)、2007年には16%しか存在しなかった「プロ突進タイプ」が今年は26%に増加した(これは専門学校と同じ割合)。2007年には「自分探し」が3割弱と、「やりたいこと探し・可能性発見」の場であった大学。図表6とも2014年 22.7 21.6 16.6 27.1 10.6 10.6 13.8 15.7 9.8 9.8 2.4 16.0 10.9 14.0 19.4 10.2 7.8 4.7 0.3 0.3 12.6 10.2 12.0 18.6 8.8 16.2 0.1 13.1 10.1 9.5 25.5 7.0 11.9 0.3 (%) 自分探し ブランド重視 学者 2012年 2009年 2007年 おっとり プロ突進 好きエンジョイ 未成熟 就職 無回答 図表16 大学進学希望者のタイプ構成比の変化*全体傾向の把握のため、上記の7タイプに加えて「就職タイプ」(=就職希望者)を追記している。※2007年はFAX調査/2009年は郵送調査のため「無回答」が出現する。図表15 高校生の進学意識別7タイプ●重視項目因子学生生活謳歌型因子勉強以外の学びや学生生活、可能性の広がりを重視まじめ勉強型因子学問や研究を充実させることや得意分野を作ることを重視地位上昇志向型因子大きな成功、有名企業への就職、出世や富などステイタスを重視夢・興味を仕事に型因子夢をかなえる、好きなことや趣味を仕事にすることを重視ほどほど生活型因子高望みせず、そこそこ楽しい生活ができることを重視5つの因子反応から7タイプに1400人の高校生に、将来や進学に関する質問をした結果、5つの因子が抽出されました。その因子への反応をもとに、高校生を8つのタイプに分類しています。将来のことは先延ばし。8 割弱が大学・短大に進学、「入ってから夢を見つけたい」と考える。偏差値や入試方法の基準しか持たないので、学校側の「なぜよいか」というレコメンドを期待。Type 1とりあえず大学に行って自分の可能性を広げたい今の目標は少しでも偏差値の高い大学に行くこと。有名企業に入り、出世することが幸せな生活の基盤になると考えている。流行に敏感で、進学情報の収集も活発。Type 2偏差値の高い学校に入って有名企業に就職したい進学したらコツコツ勉強して知識や技術を身につけ、将来の厳しい競争社会を生き残りたいと考える堅実派。早くから各学校や学部の詳しい比較検討を進めている。Type 3コツコツ勉強して得意分野を作りその道の専門家に競争が苦手で、上昇志向は低め。家族など身近な人たちを大事にしており、地元志向も強い。小規模で居心地のよい雰囲気で、勉強以外も幅広く学びたいと考えている。Type 4勉強も遊びもバランスよく。高望みせず自分の世界を大切になりたい職業が明確。夢実現のための努力を厭わず、将来の成功を切望。ネットワークも広く、志望業界で働いている先輩からリアルな情報を手に入れ、進学先選びの参考にする情熱がある。Type 5なりたい職業へ一直線。自力で道を切り開き成功したい将来会社に入ったり出世することに興味がなく、今「好きなこと」を手がかりに進学先を考える。ただし厳しい環境は苦手で、自由に楽しくやりたい。交友関係が広く深い。Type 6がつがつせずマイペースで好きなことを続けたい将来の夢も、進学先へのこだわりもなく、「入れればどこでもいい」という感覚で進学する。自宅に届く進学情報誌など受け身でも触れられる情報に影響される。Type 7夢はなく勉強は嫌い。今、楽しければOK自分探しタイプブランド重視タイプ学者タイプおっとりタイププロ突進タイプ好きエンジョイタイプ未成熟タイプ大学は「可能性探し」から「専門性を身につける」場へ
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