カレッジマネジメント188号
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71リキュラムの方針として、実践教育を中心に課題解決型の講義等の拡充、短期留学支援制度を含む語学教育の充実等が決まっており、教養教育機構を中心に、2015年度からの実施に向けて詳細を検討中だ。「昔の教養教育みたいに最初の2年間でやるより、教養教育と専門教育とがオーバーラップしながら、4年間トータルを通して成長していくというような大学教育になってほしい」(内田学長)。「4つの力」の養成は2009年度から、課題追求型のPBL(Problem-based Learning)「4つの力スタートアップセミナー」で行われている。初年次の必修(人文学部を除く)で、履修率は90.2%(2011年度)と高い。4名程度の小グループで行うプロジェクト推進で、テーマを設定するところから学生が自分で考えるものだ。キャリア教育担当の中川正教授(学長補佐)は「初年次向けに、主体的学習で自律性を育てる、グループ学習で小規模ながら社会性を培う等の意味があります」と説明する。「4つの力スタートアップセミナー」は、授業アンケート等によって学生が自身の「4つの力」の伸長を振り返り、大学側も成果を確認している。さらにこのセミナーは、不適応学生の早期発見にも役立っている。3回連続して休んだ学生は報告が上がり、対応することになっている。該当者は2011年には8名、2012年は2名、2013年には5名と、受講者約1200名に対して非常にわずかな数に留まっている。「しっかりとPBLで仕組みを作って、少人数クラスで教員とSA(Student Assistant)が目を配る形にしたことで、不本意入学の学生以外、こぼれる学生がいなくなった。そこは非常に大きな、ボトムアップの成果だと思います」(中川教授)。キャリア・ピアサポーター制度就業力育成としては、「4つの力スタートアップセミナー」、「キャリアプランニング」(キャリアガイダンスの授業)に加え、「キャリア実践科目」という実践型プロジェクトがあり、この3つを履修すると「キャリア・ピアサポーター初級」という学内資格が得られる。キャリア実践科目は、事務組織とも連携して「学内を職場とする」ことを実現した就業力育成授業だ。就職ガイダンスなど学内イベントの企画運営を行う「キャリアイベント実践」、学生情報誌「MIU」を作る「広報誌編集実践」、「留学生支援実践」「障がい学生支援実践」「環境ISO実践」等、10科目ほどから選べる。さらにキャリア・ピアサポーターの上級を目指す学生は、「こころのサポート」、所定の選択科目、「学習支援実践」を履修することになっている。「学習支援実践」は「4つの力スタートアップセミナー」のファシリテーション実習で、40人規模で30クラスほどあるうちの一つに参加して実習する。上級資格が得られると学長から認定証が授与され、SAとして「キャリア実践科目」や「学習支援実践」に出ることができる。SAは報酬も支払われるので、学内の「就業」とも言える。失敗学を活用した産業界ニーズ整備事業三重大学が幹事校を務める「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」中部地域ブロック23大学では、「アクティブラーニングを活用した教育力の強化」「地域・産業界との連携力の強化」の2つを取り組みテーマに掲げている。教育力の強化について「失敗学」の手法を取り入れているのがユニークな試みだ。中川教授はその経緯をこう語る。リクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 2014SA 上級資格取得者 初級資格取得者 全学生 サポート サポート サポート 学習支援実践Ⅰ~Ⅲ 選択科目1・選択科目2 「心的援助科目」から1科目 キャリア実践科目 キャリアプランニング 4つの力スタートアップセミナー(4SUS) 申請・審査 申請・審査 申請・審査 ※ SA(Student Assistant)・・・ 教員の要請により授業補助等の業務を担う 学部学生のこと ※ 上級資格取得者のうち、優秀な者は申請によりSAとして学内の各種 業務を担当できる キャリア実践の各科目や「学習支援実践」を受講した学生が、資格取得により次年度にはSAとして、受講生のサポートに入ることができる。 サポート キャリア実践科目 SA 受講生 次年度 サポート サポート 例)学習支援実践Ⅰ SA 受講生 次年度 4SUS受講生 次年度 キャリア・ピアサポーター 資格教育プログラム
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