カレッジマネジメント188号
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74大学参加型「地域構想の時代」清成忠男事業構想大学院大学学長連 載㊺ 人口減少社会の到来と大学わが国は、すでに人口減少社会に入っており、今後さらに急激な人口減少と高齢化が進む。地域構造も変化し、存続が問われる大学が増加することになろう。以下では、問題の所在を検討する。人口減少社会の到来1現在、少子高齢化は、多くの国で進展している。だが、人口減少社会に移行しているのは、日本とドイツだけである。人口のピークはドイツが2002年、日本が2008年であった。最も早く人口減少社会に移行したドイツでは「縮小社会」論が話題となり、2003年には政府によって「アジェンダ2010」が提起された。生産性の向上を目的として、労働改革や社会保障費の抑制などが重視された。わが国の人口減少は、今後、少子化対策や移民政策などによって左右されるが、長期的には減少傾向をたどることになろう。ただ、人口減少社会は「未知の社会」であり、今後さまざまな政策が構想されるはずである。さて、今後、人口はどのように推移するであろうか。公的な予測によって、日本とドイツを対比しておこう。表1の示すように、総人口は、2000年を100とすると、日本は2040年84.5、2060年68.3となる。これに対して、ドイツは2040年89.8、2060年78.6と推移する。日本の方が減少率が目立っている。また、老年人口比率を見ると、日本は2040年36.1%、2060年39.9%と上昇する。ドイツは2040年32.1%、2060年34.0%となる。こうした数値から見る限り、日本は人口減少、高齢化比率で世界の最先端を走っているといっても過言ではない。リクルート カレッジマネジメント188 / Sep. - Oct. 2014国日本ドイツ年総人口老年人口総人口老年人口2000126926(100.0)22005(17.3)82260(100.0)13694(16.6)2005127768(100.7)25672(20.1)82438(100.2)15876(19.3)2010128057(100.9)29484(23.0)81752(99.4)16844(20.6)2020124100(97.8)36124(29.1)79914(97.1)18654(23.3)2030116618(91.9)36849(31.6)77350(94.0)22275(28.8)2040107276(84.5)38678(36.1)73829(89.8)23709(32.1)206086740(68.3)34640(39.9)64659(78.6)21975(34.0)表1 日本とドイツの人口の推移(千人)資料:国立社会保障・人口問題研究所、ドイツ連邦統計局の予測(注)総人口の( )内は指数老年人口の( )内は老年人口比率(%)

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