カレッジマネジメント189号
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21がいい」と語る。京都光華では、こうした軽量で小回りの利くIRを「スモールサイズIR」と呼んで積極的に推進してきた。確かに、IRを始めるとなると、いきおい高価なシステムを導入し、アナリストを雇わなくてはと考えがちだ。しかしあまり大げさに構えず、身近なところからデータを使って始めてみることは、IR専従の人員や資源を割く余裕のない大学にも応用可能だろう。ただ、ここまでEM・IRへと展開し、地道に成果を積み重ねてきた京都光華にも課題はある。例えば、EMが学内に浸透してきたことの裏返しでもあるが、「EMは何でもやるところ」と思われてしまうと相場教授は述べる。確かに、EMは大学の機能そのものだ。その意味で、情報やデータを学内で共有化することは理想だが、それにすべて応えていては回らなくなるし、EM・IRの会議もつまらないものになる。理念がやや先行しがちだったEM・IRを、現場と調和したものに転換していく必要が生じてきているという。大学のガバナンス改革の一環としても、EM・IR組織の簡素化・効率化が課題として浮上してきている。学修成果の可視化への挑戦さて、こうして京都光華における過去7年余りの経験をみてくると、EM・IRの展開はいくつかのフェーズに整理できると言えそうだ。2008年にEM推進センターを設置してEMの確立・普及を進めた時期が第1フェーズだとすれば、EMとIRの理念を恒常的組織として実現したEM・IR部の立ち上げから現在までが第2フェーズ。そして今、これらの取り組みは新たな第3のフェーズに入ろうとしている。その契機になると思われるのはいわゆるAPの採択だ。この8月、文部科学省の「大学教育再生加速プログラム(AP)」に京都光華女子大学と短期大学部が揃って採択された。ダブル採択は全国で京都光華だけだ。今後は大学と短大がともに「アクティブ・ラーニング」を推進し、それによる学生の学修成果を可視化していくことが求められる。特に大学によるAP事業は、学生の「学習・学修マネジメント力」の向上を支援する体制構築とその運用を図ることを目標にしている(図表2)。そこでは、学生の学習成果を、行動指標等を通して評価できるような仕組みの構築を進める予定だ。それはまさに、これまで組織化してきたEM・IRをどう効率化し、いかに実質化を図っていくかが試される試金石となるにちがいない。京都光華女子大学が今後この課題にどう挑んでいくのか、注視していきたい。リクルート カレッジマネジメント189 / Nov. - Dec. 2014(杉本和弘 東北大学高度教養教育・学生支援機構 准教授)IR特集 戦略的意思決定を支える図表2 「学習・学修マネジメント力」向上の支援体制全学共通科目における本学ALの推進①予習復習の課題化の徹底②学生が考え調べたことを口頭発表する学びの徹底授業改革(授業形態のAL化)領域 A多様な学習ニーズに応える環境整備、専任スタッフの個別学習サポート体制■ 学習ステーション ■ 学科コモンズ■ 情報教育センター ■ 図書館 授業外学修改革領域 B「光華アクティブ・ラーニングアセスメント」学習姿勢を4水準で評価①教員主導のAL ②教員と協同のAL③学生自身のAL ④他者のAL化 指標によるAL態度の把握領域 D①セルフチェックシート 授業・授業外の予習・復習等を学生が自己評価②ルーブリック 授業の目標と評価基準の達成度を明確化学修成果の可視化領域 C多様な学生が存在・学生選抜が困難な学科(全入状態)・目的が明確な学科(国家試験合格)全学生が身につけるべき能力・問題解決のため資源を自律的に有効活用する力・個人とチームで取り組む力その能力の習得に必要なこと「基礎的な学習」と「大学生としての学修」のマネジメント学習支援会議情報提供情報提供企業等の有識者出身校就職先企業等外部評価成果報告 個々の学生・教職員の責任にせず、組織として実現させる仕組みを構築
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