カレッジマネジメント189号
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45リクルート カレッジマネジメント189 / Nov. - Dec. 2014図表7 韓国科学技術院(KAIST)におけるEducation 3.0クラス・モデル インタラクティブなクラス 問題解決型、協同、アクティブ チーム学習 + TAサポート オンラインの自主学習 教室におけるインタラクション MOOC 又は e-ラーニング オンラインのインタラクション Q&A 議論 チーム 学習/ 課題 インタラクティブ な課題 評価 プレゼン テーション ラボ 検索 インタラク ティブ 閲覧 Q&A 情報 共有 議論 評価 認証 講義ビデオ 教科書 バーチャル・ラボ Q&A、情報共有、SNS 課題&宿題 講義スライド 反転 講義なし (出典)図表5~7まで、KAISTテエオグ・リー教授より入手 ソウル国立大学にも呼ばれ、ソウル大ではこの講演を契機として反転授業を、少しずつではあるが、試行することになった。世界工学部長会議(GEDC)など各種の国際会議でも講演を行い、ネイチャー誌やフォーブス誌などにも取り上げられている。学長は2013年2月からスンモ・カン学長に代わっているが、KAISTの教育改革の推進に関する全国的な評価を受け、この方針を続ける方向である。KAISTでは図表6に示すように、学部・大学院を含む全科目の3割をEducation 3.0に移行する方向で、教員への支援のためのセンターも新たに設置し、取り組みを強化している。なお、KAISTのEducation 3.0は、単なる協同学習やアクティブ・ラーニングの推進を求めるものではない。協同学習等は世界的に数十年の取り組みの歴史があるが、基礎学力の定着という意味では覚束なかったとKAISTでは理解されている。これに対して、Education 3.0では一方通行の講義をオンライン講義によりしっかりと保持した上で、協同学習等を付加する方式である(図表7)。なおこの構想を実現するために、一学期間に履修する科目数も削減した。 目的を明確にして教育をデザインする多様な反転授業の事例を紹介した。「物理の概念の理解を狙う」、「大人数講義の負荷を軽減する」、「最適な教育方法を実験する」、「付加的な教育の時間を捻出する」「一方通行の講義をオンラインに移行し、協同学習等を導入する」など、その目的とするところも、それに応じて採る教育方法も様々である。反転授業は、カーン氏が製作しYouTubeにアップロードした算数等の説明ビデオが分かりやすく、カリフォルニアの学校で副教材として使用されたところから始まった。いわば偶発的に始まったものであり、特別の教育効果を狙って編み出されたものではない。それだけに、反転授業に取り組むのであれば、それによって何を得たいのか、その目的を明確にし、その上で具体的な教育/学習活動をデザインするという順序で事に当たらなくては、何も得られないで終わる危険性がある。スタンフォード大学の事例が示すように、現代の学生の性格も変わってきている可能性もある。「どのような学生を対象に、どのような力を伸ばしたいのか。そのためにはどのような教育方法が良いのか」ということを念頭に、それぞれのニーズに最適の教育方法が多数編み出されることを期待している。※クリッカー授業・セミナーを双方向対話型にすることを主な目的に、受講者から試験・アンケート等の回答をリアルタイムに徴収する機器
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