カレッジマネジメント189号
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56リクルート カレッジマネジメント189 / Nov. - Dec. 2014は多いが、腹を割って自分の大学のことを語る場はほとんどない。学問という産業振興への努力と情熱も欠如している。ブランドはつくるものではなく、このような努力の積み重ねの結果、できあがるものだと思う。本質を変えず、新しい提案を発信し続ける活力(河野透氏「私がソニーで学んだこと」要約)自身の経験を振り返るとブランドをつくるためにやってきたという意識は全くなかった。ソニーというブランドは1960年代にアメリカで形成され、アメリカという舞台がグローバルメディアとなって世界に広がっていった。ブランドを語る前に、まずスタートポイントがあり、そこから自分達はどこへ行こうとしているかという方向性があり、そして現在は何をすべきか、そういう構造があるはずである。ブランドが突然できた訳ではない。ソニーのスタートポイントは、創業者の一人である井深大氏がつくった設立趣意書ではないかと思う。①自由闊達にして愉快なる理想工場の建設、②日本再建と文化向上に貢献する、③他社の追随を絶対に許さない、真似をしない、他にないものをつくっていく、という3点に絞ったことで明瞭度が高まったと思う。もう一人の創業者である盛田昭夫氏は、①発明・発見、技術革新のクリエイティビティ、②その技術をどういうふうに転換させるかというプロダクトプランニングのクリエイティビティ、③マーケットのクリエイティビティ、の3つを掲げた上で、技術が良いだけでは意味がなく、どういう形で人の生活に影響を与えるのかを創造することの重要性を強調した。ソニーには多様な商品があり、様々な人々が関わることになるが、使って頂くのは一人の顧客だから、ソニーは一つというメッセージを含めて、“One Voice, One Image”という考えに基づき、一人の顧客の視点に立って、一人の顧客に訴えることを重視してきた。ソニーは世の中にないものを生み出し、新しい市場、とりわけパーソナル市場を創ってきた。そこで求められるのはマーケット・エデュケーションであり、それにより効用が顧客に伝わり、新しいライフスタイルの提供とともに市場が形成されてきた。メーカーである以上、出発点はプロダクトであり、そのアイデンティティがコーポレートアイデンティティになる。しかしながら、近年はブランド名を隠すと違いが見えなくなってきた。技術が進めば進むほど、エンジニアを含めてあれも言いたいこれも言いたいとなるが、そこがわかりにくさや競争相手と差がつかない原因となる。だからこそ明快なポイントに絞ることが大切である。一つに絞ると確実に伝わる。スペックだけでなく、信頼、信用、所有満足感も力になる。差別化で最も重要なことは態度が変わるように仕向けることである。応援者になってもらうことも大切だ。総合点が一位でもブランドは形成できない。かつての卓越した教育・他にない特色ある教育・どの大学よりも徹底する卓越した研究・(数は少なくても)世界水準の成果を出す分野がある誰に、何を、どう伝えるか(目利き、一つに絞る)学生が驚き、感動社会が驚き、感動学会が驚き、感動このような大学でありたい〜理念、思い繰り返す繰り返す大学におけるブランド構築の概念図片平秀貴氏と河野透氏の講演内容に基づき作成
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