カレッジマネジメント190号
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17リクルート カレッジマネジメント190 / Jan. - Feb. 2015本章では、新増設・改組の私立大学のトレンドを追いかける。新増設・改組件数にブレーキマーケット・インの傾向増大図表5は、18歳人口の1991年から2014年までの推移と、私立大学の学部・学科改編の新増設・改組(認可・届出)件数の推移、及び志願倍率の推移を示している。1992年から18歳人口が減少してきている環境下で、大学進学率が上昇してもなお、それを上回る大学数の増加、定員数の増加によって、この間、大学同士の募集競争は激化してきた。1991年大学審議会による「大学教育の改善についての答申」での大学設ニーズの検証等、認可・届出についてより慎重に議論されていることがあると思われる。新増設・改組(認可・届出)件数は、最大数の2006年294件に比較すると2012年では97件と、約7割減じた。さらに、2012年以降の大学設置審査において、大学の質の保証・設置認可の厳格化が推進され、2014年度認可分からは、入口・出口ニーズの検証がさらに強化されることとなった。しかし、新増設・改組件数は、2013年114件、2014年112件と2012年より少し増加している。特に認可件数が増加していることから、新たなマーケットへ進出する改編が促進されているのではないかと推測できる。置基準の大綱化、1997年の「高等教育の将来像」で示された臨時定員(臨定)の5割恒常的定員化、その後2004年より届出制の導入に伴い、新増設・改組(認可・届出)件数は急増した。しかし、2008年12月の学士課程答申で設置認可の運用厳格化が提言されたことが影響しているのか、2009年以降2012年まで年々認可・届出件数が減少し、学部・学科改編にブレーキがかかっていると見える。その背景として、大学の学部・学科の新増設・改組を検討している多くの現場では、設置基準を満たす内容かどうか、教育理念との整合性、教員の審査、エリア特性も踏まえた募集マーケットニーズの検証、卒業後の人材特集 学部・学科トレンド2015学部・学科改編のマーケット・トレンド(全国/私立大学)章20 50 100 150 200 250 300 350 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (件数) (年) 33 73 50 79 54 63 62 85 92 223 190 182 148 50 193 243 160 201 161 209 156 199 139 179 127 157 101 121 80 97 92 114 82 112 242 294 41 52 48 43 40 30 20 17 22 30 0 50 100 150 200 250 0 3 6 9 12 15 11.4 11.6 13.1 12.1 10.1 11.3 8.6 6.7 6.1 5.3 5.0 6.1 6.2 5.8 6.5 6.3 6.2 6.6 6.3 6.8 5.6 5.5 5.1 8.1 (万人) (倍) ※1 18歳人口は文部科学省 学校基本調査より ※2 新増設・改組件数は1991-2000は(財)文教協会 全国大学一覧・全国短期大学高等専門学校一覧を元に編集部集計。2001-2014は文部科学省集計。    件数は、設置組織数ベース(私立大学のみ)。 ※3 新増設学科の志願倍率は「リクルート入試実態調査」を元に、大学新設、学部・学科改編による新学科の志願倍率を集計。 志願倍率 新増設・改組件数 18歳人口18歳人口 志願倍率 認可 届出 新増設・改組件数 図表5 新増設・改組の概況

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