カレッジマネジメント190号
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21リクルート カレッジマネジメント190 / Jan. - Feb. 2015特集 学部・学科トレンド2015新たな兆しから見えてくる今後の学部・学科開発章32008年152号特集、2010年162号特集、2012年179号特集に引き続き本稿で社会情勢の変化を捉え、学科系統のライフ・サイクルの変化の兆しについての分析を行ってきた。大学は入口マーケットと出口マーケットのニーズを読み込み、後追い型で学部・学科改廃を計画し改組・設置する。かたや高校生は、出口マーケットと入口の難易度を視野に入れた志願選択を行う。中長期で見た社会情勢の変遷がこのライフ・サイクルに色濃く表れていると思われる。2012年までは、リーマンショック後の長引く不況、そして東日本大震災の影響が色濃く反映されていた。高校生は社会情勢を見聞きするなかで、出口ニーズが高い分野を近視眼的に捉え、確実に仕事につながる資格が得られる分野に出願する傾向が強くなっていた。女子の進学率の上昇も相まってより資格関連分野が成長するというライフ・サイクルが、この4年間の大きな変化であったと言える。しかし、2012年末に安倍政権が誕生し、「アベノミクス」に代表される政策がマスコミなどを通じて高校生や保護者・高校教員の意識を変え、少子高齢化と人口減少という長期における経済低迷要因はあるものの、中期での景気の期待や就職の難易度が下がるのではという期待感が、学科系統のライフ・サイクルに影響を与えていることは明らかである。また、2020年に東京オリンピックが開催されることが決定したことも、今の高校生が社会人になる頃の景況感にはて検討するため、今後取り組むべき社会課題や可能性について図表9(次ページ)に示しつつ、既に各大学で起き始めている新増設・改組がある場合はその事例を取り上げたい(今後の各大学の設置計画については全て構想中。新聞・インターネットなどの情報で編集段階で公開されているものを記載)。1.少子高齢化世界的に見ても日本の少子高齢化は先進的で、労働人口の大幅な減少が与える社会的影響は大きい。日本の産業はさらにサービス業への転換が進み、高付加価値化が求められる。また、労働人口減少の打ち手としての女性の社会進出の推進(安倍政権の成長戦略の一つに女性の活躍推進のための政策があり、政府は「2020年までに指導的地位の女性割合を30%にする」と公言)、高齢者の再雇用の促進、海外の人材の登用等、人材活用が課題となる。また、高齢化に伴う医療費の増大と個人負担への負荷プラス材料となっている。さらにグローバル化の推進がマーケットに与えるインパクトは、今後さらに色濃く志願者に影響を与えると思われる。長期の学科系統のマーケット・トレンド分析から見えるポイント(図表8)を前提としつつ、直近の社会情勢の変化に伴い、予想される学部・学科の開発ポイントをまとめていきたい。新たな「社会課題解決型」の学部・学科の開発の方向性今後の学部・学科開発の方向性は、マーケット・インに見られる学部・学科の新増設の傾向に加え、国内の社会情勢の変化とともに、今後の日本社会の課題を解決する方向性での開発が高まっていくと考えられる。2013年からのマーケット・トレンドの新たな兆しとして「社会課題解決型」の学問と学科系統の掛け合せの学部・学科の予兆が見られた。そのような兆しがあるなか、社会課題別に考えられる学部・学科の開発につい図表8 長期の学科系統のマーケット・トレンド分析から見えるポイント(※179号引用)●分野別トレンドには中長期的なライフ・サイクルが存在する●短期的には、志願者の増減は世相などの影響を受けやすい●2012年まで成長している分野は、①グローバルな課題対応分野、②就職イメージ・仕事資格直結型分野、③地元有名大学・ブランド重視の入学できる分野に分けられる●大都市圏とローカルでは成長分野が異なり、大都市圏ではトレンド影響が高く、ローカルではローカルならではの分野とトレンドに関係なく受け皿となる分野が成長している●単独分野で衰退していく分野が多いなかで複合分野のシェアが高まっている●複合分野は、単独分野を組み合せることで新たな付加価値を提供する学科開発が多い●新増設・改組の成功例は、都市型大規模有名大学に多い●新増設・改組のマーケット・インのニーズが高まり、よりライフ・サイクルの影響が加速する
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